ハンパない大変さ、軽バン配送

トラック貨物は輸送効率が大切だから、大きな車両で一度に大量に運ぶのが原則となる。しかし、宅配便などの小口配送は配達効率が求められるから、小さなトラックで運ばれることが多い。近年はECサイトの利用が増えたこともあり、個人宅などへの小口配送が爆発的に増加しているという。

集荷拠点から小口配送先への配達は、小型トラックのほか専用のバンなどが使われているが、小回りが利いてコストが抑えられる軽トラックや軽バンが使用されることも多い。郵便用としては軽自動車を1960年代ごろから使用していたようだが、一般貨物では1980年ごろから増えてきたとされている。運送事業者がラストワンマイルを支える1台として運用している場合もあるが、個人事業者が配送を請負って配達に使用していることも多い。

個人事業者は運送事業者から荷物を預かり、配送先に届けている。運送事業者の従業員ではないので基本給や時給ではなく、基本的にはいくつの荷物を届けたかで報酬が決まる。せっかく届けても不在であれば意味がなく、できるだけ短時間でたくさんの荷物を届けなければならない。すなわち、配達効率が重要なのである。熟練した配達員なら1日約200個を配達するそうだが、初心者では50個を切ることもあるという。

こういった軽バンを使用したラストワンマイルの配送実態を知るべく、少し特殊ではあるが「都内の公立中学180校に、3万部ほどの資料を10日間で届ける」という仕事に密着してみた。180カ所を10日間で回るということは、単純に計算をすると1日18カ所ということになる。しかし、現実はそう簡単なものではない。

今回使用する軽バンの最大積載量は350㎏。すなわち、1回の配送は2000冊程度ということになる。問題は、学校ごとに配布冊数に大きな違いがあるということ。少なければ20冊程度だが、多いと350冊になる。そのため、配達前に各学校の配達数と位置を照らし合わせ、綿密に計算して配達予定を組む必要があるのだ。

こういった面倒さとは裏腹に、学校は不在がないために持ち帰りが発生しない。さらに、場所もわかりやすい。これらは、配達するうえで結構重要なポイントなのである。もちろん、デメリットも存在する。紙の資料は意外に重く、100冊程度で約10㎏になる。学校は入り口から校舎の搬入口までが遠いだけではなく、構内にクルマを乗り付けられないから手運びになるのだ。台車を使うことは可能だが、配達先が校舎の2階以上であればエレベーターがないので階段を利用することになる。

もうひとつの問題が駐車スペースである。多くの場合、校内には乗り入れられないので近隣のどこかに停めなければならない。ところが、適当な駐車場所がないことも多いので、結構な距離を手か台車で運ばなければならないのだ。また、丘の上などに学校が位置している場合、雨が降っていると資料を満載した軽バンでは登坂できないことがある。そのような場合には、ルートを変更しなければならなくなるのだ。自宅にいても当たり前のように届く荷物は、こういった配送ドライバーの苦労の上に成り立っていることを、改めて感じさせられた取材であった。

ページトップに戻る