物流拠点ともいえる埠頭「東扇島」ってどんなところ?

かつて、物流倉庫が立ち並ぶのは湾岸地区と相場が決まっていた。なぜなら、船で港に荷物が運ばれてくるからだ。しかし、この湾岸地区は今では「ベイエリア」などと呼ばれるようになり、公園・居住区・商業施設などができて著しく地価が高騰したところも多い。結果、物流拠点は内陸の山間部に移らざるを得なくなり、今では環状高速道路沿いに展開している例が増えている。

そのようななかで、今でも京浜工業地帯の物流拠点として健在なのが神奈川県川崎市にある「東扇島」だ。この島は埋め立てにより生まれた人工島で、川崎港の一部に位置付けられている。そのため島のほとんどが倉庫・工場などの事業所とその駐車場・作業場などで構成されているのだ。公園・会館・テニスコートなどもあるので、それらを訪れる人も往来する。島に渡るには、首都高速湾岸線の東扇島ランプを利用するか、歩車兼用の海底トンネルを通らなければならない。

川崎市中心部から来るには、国道132号線を通ることになる。千鳥町に入る手前ごろから、トラックの往来や鉄くずを扱う店舗が増えて埠頭らしい雰囲気が漂い始める。千鳥町に入ると配管がむき出しの状態で現れるなどして、完全に工業地帯といった感じになるのだ。そして、海底トンネルを抜ければ東扇島に到着するのである。

東扇島は全体が埠頭としての機能を持っているため、いたるところでフォークリフトが作業を行なっている。当然、荷物を積んだトラックの行き来も激しい。さらに、パレットがあちらこちらに多数積み上げられている。まさに物流拠点という感じなのだが、不思議と喧騒感がない。人や作業車が行き交えば、公設市場のような騒がしさがあってもおかしくないのだが、この妙な静けさが埠頭独特の雰囲気なのだろう。

ここにはスバルの新車ヤードがあり、ロゴマークの入った大きな建物と積み込み前と思われる多数の新車が目を引いた。ここから海側は、一般の立ち入りが禁止されているエリア。島内には東扇公園や川崎マリエン(川崎市港湾振興会館)などがあり、そういったところには一般車も自由に往来が可能である。しかし、外国船埠頭方面は国際条約によって立ち入りが制限されているのだ。

島内道路の多くは基本的に公道であるが、一定の区域内ではナンバープレートを付けていないクルマが走っているのを見かけることがある。これは、輸出用の車両をヤードからヤードに移動させている光景だ。信号のない広い敷地内を走っていることが多く、運転好きにはおすすめの仕事である。

人工島だけあって、区画整備がされた街のような広い直線道路が整備されている。かつては、ここでドリフト走行をしていたクルマが存在したようで、交差点には不自然に「キャッツアイ」が埋め込まれていた。ただ、タイヤのブラックマークは見られなかったから、それも今は昔のことなのであろう。東扇島は川崎市とはいえ、明らかに居住地域とは違う独特の雰囲気を持っている。川崎方面にクルマで出かけた際には、一度寄ってみる価値があるのではないだろうか。

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