高性能なラフテレーンクレーンに採用されたすごいエンジンとは?

建設機械といえば、小旋回型の小型ショベルからモンスタークラスのダンプトラックまで、実に様々な大きさ・種類がある。これらの車両は単に走るだけではなく、地面を掘る・土をならす・荷物を吊り上げる・砂利を運ぶなど、大きなパワーを必要とする仕事もこなさなければならない。それを稼働させているのは、いうまでもなくエンジンだ。近年は電気モーターを使用するタイプも出てきているが、多くはディーゼル内燃機関を使用している。

一般的に、車両とエンジンは共に同じ車両組み立てメーカーが製造していると思われている。確かに、乗用車やトラックの場合はOEM車両でもない限り、同じメーカーで製造されている場合がほとんどだ。しかし、建機は必ずしもそうではない。エンジンを他のメーカーから調達していることも少なくないのだ。

わが国の建機にエンジンを供給している代表的なメーカーとして挙げられるのが、アメリカのカミンズ社である。同社は世界各国に約190カ所の拠点を持ち、建機以外にも様々な分野にエンジンを供給している。たとえば、鉄道車両や産業機械などである。エンジンはOHVやSOHCタイプのものが多く、ターボチャージャーを備えている。すなわち、排気量を抑えながら高出力を実現しているわけだ。

同社エンジンの環境性能は、世界トップクラスといってよい。なぜなら、世界展開していることにより、各国が独自に定める環境基準をすべてクリアしなければならないからである。なかでも、群を抜いて厳しいとされるヨーロッパの基準「EU StageⅤ」にも適合しているというからそのすごさがわかろうというものだ。

「EU StageⅤ」は、ノンロード移動機械に搭載されるエンジンの環境規制基準。NOx(窒素酸化物)やPM(粒子状物質)などの排出を厳しく制限しているだけではなく、一定の単位あたりに含まれる粒子数を指す、パーキュレートナンバー(PN)についても規制の対象としているのだ。この規制はヨーロッパのほか、中国やアメリカの一部で実施されている。

この環境に配慮したカミンズのエンジンを採用しているのが、加藤製作所の80トン吊りラフテレーンクレーン「SL-850RfⅢ」だ。このタイプのクレーン車としては、大型の部類に入る車両である。ホイールで走り、公道を走行することも可能だ。アウトリガを張り出すことで安定性を確保し、80トンの大きな荷物を吊り上げるパワーを持っている。カミンズのエンジンは、この要求に応える性能があるということだ。

カミンズからエンジン供給を受けているのは、何も加藤製作所だけではない。かつて、コマツとはライセンス生産の契約を結んでいたことがあるし、最近ではいすゞ自動車と提携関係にある。このほかにも、日立建機・コベルコ建機・タダノといった建機メーカーにも、エンジン供給を行なっているのだ。

さらに、同社では2025年2月に次世代エンジン「2027 X15」を発表。高効率・低排出ガス・複数燃料を謳ったこのエンジンには、各国の建機メーカーが注目している。世界各地で発生している異常気象を見れば、地球環境の問題は待ったなしの状況だ。その解決に取り組むカミンズの開発力に、世界が期待をしているのは間違いないだろう。

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