
高速道路などで、たまに遭遇する牛や豚。とはいってももちろん、トラックに積まれた状態での話なのだが、普通のトラックだと思って横に並ぶと、視界の端でなにかが動いていると思ってその方向を見ると牛や豚だったという経験がある人は少なくないだろう。そして運搬されているのが牛だとわかると、心の中には「ドナドナド〜ナ~♪」というメロディーが流れているに違いない。さて話題を元に戻そう。
こうした牛や豚などを運搬する際に使用されるのが今回は、家畜運搬車だ。特殊な荷物を運ぶだけあって、特別な部分もあるので説明していこう。
そもそも家畜運搬車とは、動物を安全かつ効率的に移動させるために特別に設計された車両のことだ。家畜運搬車は家畜の運搬に特化している車両のため、動物が快適に過ごせるように作られている。
そのひとつが堅牢な構造だ。家畜運搬車のボディは高強度の金属で作られており、長時間の使用や過酷な環境条件にも耐えられるように設計されているのだ。また、滑りにくい床材を使ったりパーティションで仕切られているのだが、これは運搬中に動物が転倒するリスクを最小限に抑えるためだ。またスムーズに家畜を荷室に乗せるためのスロープは、家畜運搬車ならではの装備といえる。
さらに家畜運搬車が持つ特徴に通気性の良さが挙げられる。運搬時にはそれなりの時間がかかることを考慮し、適切な通風システムが組み込まれているのだ。この通気性の良さのおかげで車内の温度や湿度を適切に保たれ、動物がストレスを感じることなく過ごせるようになっている。

こうした機能で動物にストレスをかけないで運ぶことができる家畜運搬車だが、まだまだ特別な構造を持っている。それが衛生面にも配慮されていることだ。内部の清掃が容易に行えるような設計に加え、洗浄が簡単に行える素材が使用されている。生き物を運搬する車両だけに衛生面は非常に重要なポイントで、常に清潔に保つことで、病気の伝播を防ぐことができる。また、排水システムも完備されており、運搬中に生じる廃液を迅速に処理することが可能なのだ。
さらに運搬する動物のサイズや運搬にかかる時間によって造りも異なっている。牛や馬などの大型動物用と豚や羊などの小型動物用の車両というふうに分別されている。これは家畜運搬車自体のサイズはもちろん、長距離輸送の場合は、動物が休憩できるスペースや給餌装置が装備されていることが一般的だ。

大型の家畜運搬車では、荷室を3層のフロアに分けるといったことも可能で、牛と豚を別々に分けて乗せるという使い方ができる。
このように運ぶ動物たちのことが最大限に考慮されている家畜運搬車だが、実は運転席からの視界の確保や、運転のしやすさも家畜運搬車の重要な要素なのだ。スムーズな運転をするのはもちろんだが、運転席かが家畜の状態を随時確認できるように、監視カメラや窓の設置や、走行中、加減速時の揺れを最小限に抑えるサスペンションのセッティングなども特徴といえる。
こうした家畜運搬車だが、牛や豚が運ばれている様子を見るとついつい目で追いがちだ。あまり頻繁に目にするトラックではないものの、ぜひどこかで見かけたら、その構造をじっくりと観察してほしい。運搬物が生き物であるため、動物の快適性を優先に多くの工夫が施されていることがわかるはずだ。

