
トラックやバスが指定された時間に荷物や乗客を届けるためには、走行するルートの道路状況をリアルタイムで把握しておくことが大切だ。その情報源となるものには、ハイウェイラジオなどといった道路交通情報のほか、路上に設置された電光掲示板や、パーキングエリア・サービスエリアのインフォメーションなどがあり、重宝しているドライバーも多いだろう。


一方、カーナビなどの端末を搭載していれば、そこにリアルな道路状況を反映するシステムがある。この情報提供を担っているのが、VICS(Vehicle Information and Communication System、道路交通情報通信システム)だ。これにより提供される情報は、主に3つのルートを通ってくる。ひとつは、一般道路や主要幹線道路で使用されている光ビーコンを介したもので、当該車両の前方約30㎞と後方1㎞の情報が提供される。その内容は、渋滞情報や所要時間情報、事故・工事・災害・気象条件などによる規制情報、駐車場の満車・空車情報だ。

ふたつ目は、高速道路で使用されている電波ビーコンで、当該車両前方約1000㎞の情報を提供することが可能だ。提供される情報は主にインターチェンジ間の所要時間・渋滞情報・道路の分岐案内・事故発生・故障車の存在・工事情報・災害や気象条件など多岐にわたる。対象が高速道路なので、少しでも多くの情報を提供することで、走行の安全をサポートしようとしているのだろう。


もうひとつは、FM多重放送だ。都道府県単位のエリアに向けて、広範囲に情報を提供している。提供可能な実効情報量が多いので、渋滞情報・所要時間・事故発生・工事の実施・気象条件などによる規制・駐車場情報などが発信されている。以前、渋滞情報は車両感知器が道路に設置されている区間でしか計測できなかったが、近年は走行車両からプローブ情報を得ることで、より多くの場所の情報が提供されるようになってきた。
これらの情報はリアルタイムで収集されているが、それだけでは事実が把握できるだけのことになる。とくに、所要時間などについては何らかの分析をしなければならない。そこでこれらの情報は、都道府県警察の交通管制センター・日本道路交通情報センター・道路管理者(国・都道府県・市町村)によって、処理と編集が行われるのだ。それが、文字情報・簡易図形表示・カーナビなどの端末への地図表示となって、ドライバーに伝えられるのである。

このように、VICSの情報は様々なシステムを駆使することでその精度を高めている。そして、カーナビや道路の電光掲示板などを通して、ドライバーが必要とする情報を提供してくれるのだ。以前なら、路肩に停めてラジオの道路交通情報を頼りに地図とにらめっこをしながら、効率的なルートを探さなければならなかった。しかし、VICSがあれば初めての土地でも最適な道順を判断しやすくなったといってよい。やがて、これらの判断もAIが対応するようになり、それが車両と連動することによって、自動運転につながっていくことになるのだろう。今後のVICSの発展が、楽しみである。
