スポーツカーエンジンを搭載したトラック知ってる?

トラックのエンジンと言えば大排気量のディーゼルが定番。しかし、なかにはこの常識には当てはまらない車種がある。それもただディーセルエンジンじゃないというだけでなく、搭載されているのがスポーツカーのエンジンと聞けば、ちょっとびっくりではないだろうか。そこで今回は、トラックに積まれている、面白いエンジンの話をお届けしよう。

そもそもトラックは乗用車とは使用目的が異なるため、エンジンも大型のディーゼルが採用されるわけだ。まず予備知識としてトラックのエンジンついて簡単に説明しておこう。

トラックのエンジンは「速く走るため」ではなく「重いものを確実に運ぶため」に特化している。そのためトラックのほとんどはディーゼルエンジンを採用しているが、これはガソリン車よりも熱効率が良く、燃料代が抑えられるからだ。

また最高速度よりも、重い荷物を載せて坂道を登り切るためなど、トルク重視型のエンジンが必要であること。さらには乗用車が10万〜20万kmで寿命と言われるのに対し、大型トラックは100万km以上走ることも珍しくないのだ。

このほかにもエンジンを保護し、長時間稼働させるために、普通車が約4L~7L程度なのに対し、大型トラックでは30L〜40L以上のオイルを使用するなどの違いもある。

ここまでの説明で、やはりトラックには大排気量のディーゼルエンジンがマッチすることがわかるだろう。しかし、ディーゼルエンジン以外を搭載したトラックの中には4G63という型式のエンジンを積んだモデルもある。それが「キャンターガッツ」だ。同車は三菱が製造しているトラックだが、なんとランサーエボリューションと同じエンジンなのだ。

4G63といえば、ランサーエボリューションなどのスポーツカーに搭載されたコンパクトかつハイパワーで有名なエンジンだが、これがキャンターガッツにも搭載されている。とは言っても載っている4G63は商用・実用版と言った自然吸気のエンジンだ。

キャンターガッツにおける4G63は、過酷な使用環境に耐える「タフな実用エンジン」としての性格が強められている。1980年代から長く生産されている「シリウスエンジン」シリーズの一つで、構造がシンプルで耐久性が非常に高いのが特徴なのだ。ディーゼル車に比べてエンジン音が静かで、振動も少ないため、住宅街での配送などに向いている。また、排ガス規制(NOx・PM法など)の影響を受けにくく、都市部での維持がしやすいメリットもあった。さらに多くの三菱車に採用された共通プラットフォームのエンジンのため、部品の流通が良く、整備しやすいという利点がキャンターガッツに搭載されていた理由のひとつだろう。

つまりキャンターガッツに4G63が採用された理由は、決して「速く走るため」ではなく、当時の日本の排ガス規制とコストのバランス、そしてガソリン車特有の需要が合致したからだ。

三菱が誇る4G63は、頑丈な鋳鉄ブロックで もともと高出力(ターボ)に耐えられる設計だったため、商用車として低回転で使い続ける分には、オーバースペックなほどの耐久性を持っていたというわけだ。

このガソリンエンジンを積んだトラックは珍しいが、キャンターガッツだけが異端児だったわけではない。

このほかにもトヨタの「ダイナ」や「トヨエース」にも、当時のクラウンなどに載っていたガソリンエンジン(1RZや1TR)が搭載されていた事実がある。もちろんディーセルエンジンではない理由は「規制対策」と「静粛性」だったが、乗用車用エンジンの流用は、日本の小型トラック(1トン〜1.5トンクラス)では非常にポピュラーな手法だったといえる。特に排ガス規制が厳しかった時代、ガソリン車ラインナップを維持するために、各社が自社の名作乗用車エンジンをタフに改良して搭載していたのだ。

最後に代表的な例をいくつか紹介しておこう。

「トヨタ ダイナ / トヨエース」

1TR-FE は1RZの後継エンジン。VVT-i(可変バルブタイミング)を採用し、タクシー車両などでもお馴染みです。クラウンコンフォートなどに搭載された。

「日産 アトラス」

KA20 / KA24エンジン。   プレサージュやブルーバードに搭載。

「マツダ ボンゴ / タイタンダッシュ」

F8 / FEエンジン マツダの基幹エンジン。構造がシンプルで、LPガス仕様に改造されてタクシーや商用車で多用された。カペラなどに搭載。

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