走行距離100万キロ越えは当たり前!トラックのメンテナンス

10万キロを超えると一気に価値が下がると言われているのは一般的な乗用車の話。エンジンやボディの劣化具合はともかく、この10万キロという走行距離は、クルマの価値を決めるひとつの判断基準になっている。その証拠に、中古車価格を見ると同じ状態の9万キロ台と10万キロ台の個体を比較すると、やはり10万キロに到達した個体のほうが圧倒的に値段は安い。

しかしトラックとなると10万キロなどは、まだまだ走れる低走行車両となる。実施兄はトラックが100万kmも走れるのは、単に頑丈だからではない。100万キロ言うと地球を約25周する距離だが、そこまで走っても壊れないのは、乗用車では考えられないほど「超過酷かつ徹底されたメンテナンス習慣」という秘密がある。

第一に法律が強制する「3ヶ月点検」が重要な項目となる。乗用車の場合、法定点検は1年ごとだが、大型トラックになると3ヶ月に一度の法定点検が義務付けられている。そして 3ヶ月ごとにプロの整備士が、足回りからエンジンまで50項目以上をガチガチにチェックするのだから、整備頻度と内容は乗用車の比ではないことがわかるだろう。

さらにトラックの世界では「壊れてから直す」のではなく、壊れる前に替える予防整備が鉄則なのだ。もしも運搬中にトラックが故障で動かなくなると信用問題はもちろん、多額の賠償にもつながりかねないため、まだ使える部品であっても走行距離が設定した数値になれば容赦なく交換することになる。

さらに「オイル量」と「交換の質」もトラックが超長寿命である理由のひとつだ。どんなエンジンであっても長持ちさせるためには、オイル管理が必須だがトラックの場合はその規模が乗用車とは違っている。

まずオイルの量だが、乗用車が約4~8リットル程度なのに対し、大型トラックは一度に約30〜40リットルものオイルを使用する。これは大量のオイルで汚れを分散し、熱を逃がす設計だからだ。

またオイルと密接な関係にあるフィルターも重要なパーツのひとつだ。トラックにはバイパスフィルターという、より細かなゴミを取るための2つ目のフィルターがついていることも多く、オイルの質を保つために役立っている。

このほかにもドライバーによる「運行前点検」も非常に重要なメンテナンスのひとつと言える。プロのドライバーは、毎日走り出す前に「日常点検」を行うが、例えばタイヤをハンマーで叩いて回るのは、音の響きで「空気圧が適正か」「ボルトが緩んでいないか」を一瞬で判断することができる。これは人間の感覚がものをいう部分だが、「いつもと振動が違う」「アイドリングの音が少し高い」といったドライバーの繊細な気づきが、大故障を未然に防ぐ最強のセンサーになっていることも多いのだ。

こうした定期的な整備メンテナンス、点検こそがトラックの寿命を引き上げている要因だが、もちろん点検やメンテナンスだけでは100万キロ以上を走破することはできない。そこで行われるのがオーバーホールだ。

いくらトラックが100万kmオーバーでも走ることができると言っても、100万kmずっと同じ状態で走るわけではない。その間に途中でエンジンを一度バラバラにして掃除・部品交換するオーバーホールを行うこともある。オーバーホールには作業内容によってさまざまなメニューがあるが、ピストンリングやメタルなどの消耗品を新品に入れ替えることで、エンジンのコンディションを新車に近い状態にまで引き戻すことできる。

こうしたメカニカルなメンテナンスのほかにもサビに関するチェックも重要なポイントだ。

トラックにとって最大の敵は「サビ」とも言える。とくに冬の高速道路などで撒かれる凍結防止剤(塩)は車体を腐らせてしまう。そのため、長持ちするトラックは運行のたびに「下部洗浄」を徹底し、防錆コーティングを何度も塗り直す必要があるのだ。

こうした超高寿命のトラックだが、その証拠にトラックの走行距離メーターは、100万kmを超えると「0」に戻るのではなく、「1,000,000」と表示し続ける車種も存在する。乗用車ではなかなか見ることができない数字がメーターに表示されるのもトラック特有と言えるだろう。

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