トラックの世界には、一見すると「これ何?」と思ってしまうような、特定の目的のためだけに特化した特殊トラックがいくつも存在します。今回は、思わず二度見してしまうような特殊なトラックたちをご紹介します。
「馬運車(ばうんしゃ)」
高速道路などで「競走馬輸送中」と書かれた豪華なバスのようなトラックを見たことはありませんか? 1頭数億円もする馬を運ぶため、中にはエアコン完備、強力なエアサスペンション、さらにはビデオカメラで馬の様子を監視する機能まで付いています。馬は繊細で、急ブレーキを踏むとパニックを起こして怪我をしてしまいます。そのため、馬運車のドライバーには滑らかな運転が求められます。

「リンボーバン」
見た目は普通のバンタイプトラックとあまり変わらないものの、知っている人が見ればすぐに違いがわかるのがリンボーバン。都市部の低いガード下や、高さ制限のある倉庫に入れるために開発されたトラックで、荷台の屋根の部分を、油圧で上下に数十センチスライドさせることができます。普段は荷物をたくさん積むために高くし、高さ制限がある場所を通る時だけ「リンボーダンス」のように低くして潜り抜けます。

「活魚車(かつぎょしゃ)」
刺身用の魚や高級な観賞魚を、生きたまま運ぶ「動く水族館」です。トラックの後部は単なる水槽ではなく、酸素を供給する装置や、魚が寝て体力を消耗しないようにする水温調節機能が備わっています。魚の種類(真鯛、ヒラメ、マグロなど)によって最適な水温や酸素量が異なるため、ドライバーは運転だけでなく魚の飼育に関する深い知識も持っています。

「バルク車」
一見するとタンクローリーに似ていますが、運ぶのは液体ではなく小麦粉、セメント、家畜の餌などの粉粒体です。こうした粉末状のものを降ろす仕組みが得独で、 強力なコンプレッサーで圧縮空気を作り、ホースから粉を吹き飛ばして排出します。
小麦粉用なら食品基準、セメント用なら気密性重視と、中身に合わせて細かく設計が分かれています。

「ポールトレーラー」
電柱や、橋の大きな梁(はり)、新幹線の車両など、普通のトラックには絶対に乗らない、長いものを運ぶための特殊な姿をしたトラックです。 前の車(トラクター)と後ろの台車が、荷物そのものによって繋がっているという独特の構造を持ちます。その長さゆえに右左折にも注意が必要で、 交差点を曲がる際、後ろの台車だけを別の作業員がリモコンで操舵することもあります。

「コンクリートポンプ車」
ビル建設現場で見かける、長いアーム(ブーム)を伸ばすトラックです。世界最大級のものでは、アームの長さが100メートルを超えるものが存在します。2011年の福島第一原発事故の際、アメリカや中国から空輸された超大型のポンプ車(アーム長62〜70m)が、遠隔操作で高所から注水作業を行い、世界中で注目されました。その姿から「キリン」という愛称でも呼ばれます。

「ハイリフトローダー」
飛行機の貨物室にコンテナを積み込むための、リフト機能に特化したトラックです。荷台部分が「シザーリフト(ハサミ状の骨組み)」で真上に数メートル上昇し、飛行機の高い貨物ドアと同じ高さになります。コンテナが傷つかないよう、荷台のローラーで前後左右にスライドさせるハイテク機能が備わっています。

「照明車」
夜間の災害現場や映画のロケ地を太陽のように照らす、強力なメタルハライドランプを搭載したトラックです。

「放送中継車」
中にテレビスタジオ並みの機材と、電波を飛ばすための巨大なパラボラアンテナを装備。1台で数億円以上することも珍しくありません。

「移動図書館」
地域を回り、子供たちに本を届けるトラックで「動く図書室」のことを指します。

このほかにも番外編としては、オーストラリアの巨大トラックであるロードトレインというものがあります。これは鉄道網が発達していない地域での大量・高速物資輸送をするもので、セミトレーラーが複数台連結されるため、 100メートルを超えるものもあります。
