ボディの大きなトラックには、当然のように巨大なエンジンが搭載されている。それは乗用車とは比較にならないほど巨大で、その恩恵を受けて膨大な重量物を運搬するわけだ。
こうしたトラックのエンジンだが、乗用車とは比べものにならないのは大きさだけなくパワートルクが詰まっている。
車種やエンジンの種類によっても違いはあるが、驚きの設計思想が詰まっています。 排気量は乗用車の10倍以上であることも多い。一般的な乗用車の排気量は 軽自動車なら660㏄、一般的な乗用車であれば1300㏄から、大きくても5000㏄程度となる。今ではダウンサイジングターボなどの普及も手伝って排気量は年々、小さくなる傾向にある。そうした中で乗用車のエンジンが5000㏄ともなれば、かなりの大型エンジンと言うことになる。しかしトラックの場合は、大型トラックだと10000〜13000㏄前後となる。なぜそんな大排気量が必要なのかと言うと、それは重い荷物を運ぶには、爆発的なパワーよりも、重いものを動かし始める「トルク(粘り強さ)」が重要だからだ。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違いはあるが、排気量だけ見ればトラックのエンジンは乗用車の10倍程度という認識であっている。
では世界最大級のトラックエンジンとはどんなものだろうか? これはスウェーデンのスカニア製 V8エンジンがそれにあたる。排気量は16400㏄を誇り、 「キング・オブ・ザ・ロード」と呼ばれるものだ。

現在、世界中のトラックメーカーがコストや燃費のために直列6気筒に移行する中、スカニアは大型トラック用V8エンジンを作り続けている稀有なメーカーと言える。
スペックだけ見ても排気量 16400㏄(16.4リットル、最高出力 770馬力、 最大トルク3,700Nmなので、般的な軽自動車の約50〜60倍という、途方もない力強さであることがわかる。またスカニアのエンジンはV8サウンドであり、独特の重低音は、多くのドライバーを虜にしている。
こうしたトラックならではのエンジンだが、実は「超低回転」で走っているのも大きな特徴のひとつだ。一般的な乗用車やスポーツカーがエンジンを高回転で回し速度を上げていくのに対し、トラックのエンジンは驚くほどゆっくり回っている。多くの大型トラックは、高速道路を走っている時でも 1,000rpm 〜 1,500rpm 程度しか回っていないのが、これは乗用車のアイドリングが少し高くなった程度だ。乗用車なら停止時のアイドリングが1000~1500回転、加速時や高速走行時は3000回転から6000回転であることを考えると、トラックの走行時の回転数がいかに低いかわかるだろう。

この回転数に低さにも理由がある。それはエンジンの回転数を抑えることで、摩擦によるエネルギーロスを減らし、100万km以上走れる圧倒的な耐久性を実現しているのだ。
このほかにもたくさんトラックのエンジンならではの特徴があるので説明しておこう。
トラックのエンジンブレーキは3つあるのだが、これはトラックの重量が非常に重いことが理由だ。重量があるトラックはフットブレーキだけではフェード現象のリスクがある。そのため、強力な補助ブレーキである、排気ブレーキ、パワータード、リターダーがある。
また燃料タンクの横に青いキャップのタンクがついているが、これはアドブルーの注入口キャップだ。アドブルーは高品位尿素で、排気ガスに吹きかけることで、有害な窒素酸化物(NOx)を化学反応で「窒素」と「水」に分解してくれる。ただし、これはトラックのエンジンのみというわけではなく、トラックに搭載されるディーゼルエンジン以外にも採用されている。

そして最後は驚異の「熱効率」だ。トラックのディーゼルエンジンは、エネルギー効率の面でガソリンエンジンを圧倒しており、エンジン形式熱効率はガソリンエンジン約30% 〜 35%なのにして、最新の大型ディーゼル約45% 〜 50%超と燃料が持つエネルギーの半分近くを動力に変えられる、世界で最も完成された内燃機関の一つといえる。

外からは見えないトラックのエンジンだが、このように様々な技術が盛り込まれることによって、重量物を運搬することに特化した性能を持ち合わせていることがお分かりいただけただろう。
