高速のイカミミってなんだ? まさか、お土産のことじゃないよな?

高速道路とイカミミ、この組み合わせを聞いて何のことかすぐにわかる人は、よほどのマニアか工事関係者だろう。今なら簡単にインターネットで高速道路とイカミミの関係を調べることができるが、その前にちょっとだけその中身を想像してみてほしい。一見何の関係もなさそうな両者だが、実は色々な所に存在しているマニアックな場所なのだ。そこで今回「イカミミ」と呼ばれるもについて説明していこう。

先に答えを言ってしまうがイカミミとは高速道路の未完成部分のことだ。道路マニアの間では常識で、将来新しい路線や出口を接続するために、あらかじめ分岐部分だけを造っておいた構造物がイカミミなのだ。

なぜイカミミが出現するのかというと、計画が凍結されたり、遅れたりすることが原因で道が空中でブツ切れになってしまうからだ。その結果、建設途中で工事が止まってしまった道路は、その形からイカミミと呼ばれるようになった。

実際にはイカミミは単なるトマソン(街中に保存されている役に立たない無用の長物の物件を指す芸術・観察概念)などではなく、将来の工事をスムーズにするためのジョイント部分という大切な役割を持っている。繰り返しになるが見た目は本線から三角形に突き出し、その先がバッサリ切れている。

このイカミミは「イカの耳」とも呼ばれ、専門用語では「ランプ準備体」や「接続準備構造」という名前だ。

では、なぜイカミミ状態で放置されるのか?これには、将来の工事をスムーズにしつつ、現在の通行を妨げないための高度な設計思想がある。それをもう少し詳しく説明しておこう。

すでに車がビュンビュン走っている高速道路に、後から分岐路を継ぎ足すのは至難の業。そのため、建設時にあらかじめ「分岐の根元」だけを作っておくというのがイカミミ出現の第一段階だ。さらに橋脚や床版(床のコンクリート)を一体で造っておかないと、後付けでは強度が確保しにくいという理由もある。

こうした過程をへてイカミミへと近づいていくわけだがイカミミが長く残っている場所の多くは、用地買収の難航や都市計画の見直し、予算の関係で「先の道路」がいつまでも造られないケースであることが多い。

冒頭でも書いたが、イカミミと言う存在は非常にマニアックであるが故、身近にあっても気がつかない人も多い。そこでいくつか有名なイカミミスポットを少し紹介しておこう。

「首都高速5号池袋線 飯田橋付近(飯田橋JCT計画跡)」

日本で最も有名なイカミミと言えばここ。5号線から神田川を跨いで反対側へ突き出している巨大な構造物なのだ。かつて「高速内環状線」という計画があり、そこへ接続するための準備だった。現在は計画が事実上凍結されている。

「首都高速湾岸線 浦安付近(国道357号接続準備)」

ディズニーリゾート付近の湾岸線を走っていると、不自然に外側へ張り出したアスファルトが見える。そして本線の横に、車1台分以上の幅がポコっと突き出しているが、これは国道357号(一般道)から高速へ直接入る専用ランプを作るための準備だった。しかし、準備中のままなので、現在もそのまま残されている。

興味がなければわざわざイカの耳を探そうということにはならないと思うが、もし自分で探そうと思うなら、以下のポイントに注目するといいだろう。

地図アプリを使い、本線のガードレールの外側に、舗装されたスペースが三角形に広がっているところを探したり、道路は繋がっていないのに、橋脚だけが横に長く、何かを載せられそうな段差(梁)が余っているなどがイカミミのある場所である可能性が高い。

イカミミは、観光地のような華やかな人気スポットというよりは、道路マニアや構造物好きの間で密かに熱く支持されている萌えスポットと言える。その存在と意味を知らなければ「なぜあそこで道が途切れているんだろう?」と不思議に見える風景だが、将来はここがどこに繋がるのかという未完成ゆえのワクワク感が感じられることだろう。

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