いい思い出は美化されがち、とはよく聞く話しだけど、実際に過去の映像や画像が美しく蘇ることが最近では珍しくなくなりつつある。いろいろな事象の検索や文書作成、動画の編集制作で様々なAIソフトがとても身近になっているからだ。近頃は小説や漫画の創造もできるようになったという。そんなご時世、過去の写真を蘇らせる技術も伸張著しい。モノクロ写真のカラー化はもちろん、劣化した写真の復元などもかなりしやすくなった。思い出のある昭和の写真といえばデジタル画像ではなく、ネガフィルムやプリントされた紙焼きをアルバムブックに収めているのが一般的だろう。そんな写真も時とともに劣化は避けられない。フィルムであっても素材自体の劣化で「にじみ」が出てきたり、プリント写真なら日焼けや紙質の劣化で「色飛び」が発生してしまう。
今回はそんな昭和レトロな写真を、AIソフトと雑誌デザイナーの修正技術によってデジタルリマスター版として蘇ったアートトラックたちを紹介したい。より鮮明になったディテール、カラフルなカラーリングもほぼ忠実に再現できている。それぞれビフォーアフターで見比べながら「美化された印象」ではなく、リアルに美化(復元)されたトラックの勇姿を堪能して欲しい。


ビフォーアフターその1が上の画像。
映画『トラック野郎』第1作公開のタイミングで発表された「歌麿会」の発足。ファンならば知らぬものはいないほど有名な、1975年7月15日、横浜の出田町埠頭に集結したトラックたちのスナップだ。それぞれが個性豊かに飾りをつけたトラックが一堂に会すそのシーンは圧巻。もとの写真でも当時の熱気や堂々たる光景は伝わるが、アフターのそれは1台1台のディテールもしっかり認識できる。当時のオーナーたちのこだわりぶりがはっきりと伝わってくる一枚だ。


ビフォーアフターその2は、三菱ふそうのTシリーズ。
同シリーズのモデルは1950年代から1976年までラインナップしていた同社の中核ブランドだ。1975年、映画『トラック野郎』第1作「御意見無用」の公開とともに映画は空前の大ヒット。以後5年にわたってシリーズ10作が生まれることに。そんなブームの影響もあってか、この山口県で活躍しているふそうのアンドンには、映画を由来とするような、シュールなセリフがいくつも掲げられている。またアフターの画像では、復元されたボディカラーや、各種パーツのディテールがはっきりと表現されている。


ビフォーアフターその3は、日野KFシリーズと思われる大型トラックだ。写真は静岡県の国道と思しき歩道橋から撮影されたもの。全国的な「歌麿会」を構成している1台として有名な車両で、飾りも多くなんとも派手な出で立ちだ。きっと当時も見るものを圧倒していたはず。また荷台に見える木材も満載らしく、「働く姿」も含めてなんともインパクトがあるシーン。さらにアフターの画像では写真全体の色味がしっかり復元されているほか、周囲の建物や乗用車などもはっきり認識できる。三菱のランサーバンやギャランΣ、いすゞフローリアンなどがなんとも懐かしい。
「色褪せない(インパクトある)思い出」は、これからもより美しく、そしてリアルになっていきそうだ。


出典:雑誌「トラック魂 vol.134」(交通タイムス社刊)より引用
