ターレットトラックってどんなトラックだ?

「ターレットトラック(ターレット・ターレー・ターレなどとも)」といわれて、すぐにピンと来た人は市場・倉庫・工場・鉄道などに勤める人であろうか。一応、多くが小型特殊自動車としてナンバーの取得が可能な車両だ。しかし、前述のような閉鎖された私有地が主なフィールドなので、街中を走ることはまずないといってよい。トラックという名前が示す通り、荷役運搬を主な仕事としている車両なのである。

大きな特徴は、その見た目と操縦席だ。メーカーによって若干違いはあるようだが、基本的には円筒形の操縦部と荷台で構成されている。円筒の中には駆動部が収まり、その上部に金属のハンドル兼アクセルがある。ハンドルは比較的大きなもので、それを押し下げるとペダル式アクセルを踏み込むのと同じ状態になる。離せばその逆で、エンジンブレーキがかかる。その後ろに、ドライバーの乗るスペースがあってほとんどが立席だ。停止は、足元のブレーキペダルを使う。

特徴は、こういった見た目だけではない。前輪が360°回転するという特殊な操作性も、他の車両との大きな違いといえる。これはフォークリフトの総舵輪が後輪であるのと同様に、活躍するフィールドの特殊性から小回りを重視したことにあると考えられる。後退も可能で、レバーを切り替えるだけでOKだ。

駆動装置は内燃機関エンジンが主流だったが、現在はバッテリー方式が多くを占めている。これもフォークリフトと同様に、倉庫などの閉鎖空間で使用することが多いために、環境問題やそれに伴う作業者の健康問題を重視したことが大きい。ターレの場合、生鮮市場で使用されていたこともあり、排気ガスによる商品への悪影響を懸念して、早くから電動化が進められていた。使用される範囲が限られるターレはその場所に充電設備を設置することによって、バッテリー切れを起こす心配がない。ラストワンマイルの小型トラックや路線バスのように、比較的電動化がしやすい環境にあるのだ。

小型特殊自動車なので、最高速度は15㎞/hで最大積載量は500㎏以下に設定されており、比較的安全な乗り物だと思われている。しかし、先にも触れたようにハンドルやアクセル操作、方向転換が一般車両と大きく異なるために、操縦者はある程度訓練が必要になるのだ。逆に、慣れてくると手足のように扱う人もいて、まるで曲芸のような鮮やかさを披露する操縦者もいるという。

ターレは20世紀初頭に工業化が進むイギリスで登場したそうだが、現在ではわが国の活躍が目立っている。「ターレットトラック」の語源になったメーカーはすでにないが、「モートトラック」「エレトラック」「マイテーカー」など、様々な名前で今でも各メーカーが製造・販売しているのだ。

公道が主なフィールドではないこともあり、交通取り締まりの対象になりにくい。しかし、決して事故が起きていないわけではないのだ。そこで、市場・倉庫・工場・鉄道などが独自にルールを定めて、使用モラルの向上に努めているという。とはいえ、利便性が高い車両であることは間違いないので、ラストワンマイルの運搬にも活躍する日が来るのではないだろうか。

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