東京・お台場の「ゆりかもめ」など、新しいタイプの交通手段として期待されている新都市交通。広い意味ではモノレール・ライトレール・リニアモーターカーなども含むのだそうだが、狭義には自動案内軌条式旅客輸送システム(AGT、Automated Guideway Transit)を指している。乗車すれば一目瞭然だが、AGTは乗務員のいない完全な自動運転。専用軌道であれば、すでに完全自動運転技術は実用化段階にあるということである。

自動車の分野でも、閉鎖空間である建設現場や倉庫などでは完全自動運転化が、段階的に進められつつある。しかし、多くの人・自転車・バイク・自動車などが行き交い、建物や電柱などの障害物が各所にあって、信号や標識などで様々な通行規制がかけられている一般公道では、車両の完全自動運転を行うのは簡単なことではないといわれている。
自動運転には、6段階の国際基準がある。自動化していないものが「レベル0」で、完全に自動化したものは「レベル5」だ。決められたエリアや条件内なら、システムが運転のほぼ全部を行う「レベル4」は、2030年代中盤ごろに一般公道でも使用可能になるのではないかといわれている。これに対して「レベル5」は、現段階において実用化の目途が立っていない。

現在、各所で実証実験が行われているものの多くは自動運転の「レベル2」である。これは、人が運転席から運行の監視を行う中で、システムがハンドル操作と加減速の両方を支援するというものだ。言い換えれば、常に運転手が操作可能な状態で運転席からシステムを監視していて、必要なときには直ちに手動運転を行える状態にあるというものだ。
この自動運転「レベル2」実証実験の1つが、2025年2月23日~26日に神奈川県の「湘南国際村(横須賀市・葉山町)」で行われたのだ。主催したのは、神奈川県や東京都を走る京急バス。使用された車両は、タジマモーターコーポレーション(静岡県袋井市)の「TAJIMA-NA0-8J」がベースになったもの。この車両は8人乗りの電動小型バスで、地域のコミュニティバスなどの新たなモビリティとして活躍するなど、多くの実績を持つ車両だ。これを、自動運転仕様に改造したのである。

この実験ではあらかじめ走行ルートがプログラミングされており、乗務員だけではなく遠隔監視システムも搭載。走行ルートで何らかの支障があれば乗務員が操作することも可能だが、遠隔装置でコントロールもできるのだ。実際に乗車した際には、ルート上で駐車車両があったり工事が行われていたりしたが、手動運転にして乗務員が対応。障害がなくなり、プログラムルートに戻ったところで再び自動運転に切り替えていた。
路線バスや観光バスとは仕様が違うので乗り心地が良いとは感じないが、終始不安感のない運行であったといえる。遠隔監視室は湘南国際村敷地内の建物に設けられており、見た目は少し規模の大きなゲームシステムのようであった。とはいえ、車両に設けられた多数のカメラとリンクしているので、その動きが手に取るようにわかる。レベル2では、採算性などを含めて完全自動運転の実用化には遠い印象を受けるが、こういった実験の積み重ねが2030年代に花開くことになるのだろう。

