トラックで使用される3文字のアルファベット

トラックの車体や物流の現場では、アルファベット3文字の専門用語が飛び交っている。一見すると暗号のようにも思えるが、これらは現代の物流や環境・安全などの対策を支える重要な技術を表す略称なのである。もともと、日本人はなんでも略すのが好きなようだ。テレビジョンはテレビ、テープレコーダーならテレコ。最近では、タイムパフォーマンスをタイパなどと表現する。3文字のアルファベットを使った略称も同様で、長い外国語の綴りを理解するよりも覚えやすく使いやすいのだろう。

・LNG(液化天然ガス)

天然ガスを-162℃まで冷却して液体にしたもの。液体化することで、体積は元の気体の約600分の1にまで収縮できる。つまり、たいへん輸送効率が高いといえるのだ。

・LPG(液化石油ガス)

いわゆる、プロパンガスのこと。LNGに比べて火力が約2倍とあって、空気よりも重い(LNGは空気より軽い)。

・DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)

ディーゼルエンジンからは、黒煙の原因となる微粒子状物質(PM)が排出される。DPFはこの有害物質をフィルターでキャッチし、大気に出さない役割を担う。溜まった微粒子は走行中に自動で燃焼除去される仕組みだが、短距離走行やアイドリングが多いと、このシステムがうまく働かない。結果として、故障の原因になってしまうのだ。DPFは、それを防ぐ役割を担っているのである。

・EGR(排気再循環)

これは、一度排出したガスの一部を再びエンジン内に取り込むシステム。一見、汚い空気をエンジンに戻すのは効率が悪そうに思えるが、これには科学的な根拠がある。燃料を高温で燃やすと、有害な窒素酸化物(NOx)が発生しやすくなるが、酸素の少ない排気ガスを混ぜることで燃焼温度が下がり、NOxの発生を抑制できるのだ。ガソリン車では主に燃費向上のため、ディーゼル車では排ガス浄化のために採用されている技術である。

・PTO(パワー・テイク・オフ)

これは、ダンプカーが荷台を傾けたり消防車が放水したりする際に、その動力を供給するシステムのこと。言い換えれば、エンジンの回転力を走行するため以外(油圧ポンプの駆動など)の動力として、取り出す装置のことである。パッカー車のゴミ圧縮や高所作業車のブーム移動など、働く車が「走る」以外の特殊な仕事をするための心臓部といえるのだ。

・ASR(アンチ・スリップ・レギュレーション)これは、タイヤの空転を防ぐ安全装置。雨や雪により滑りやすくなった路面では、発進時にタイヤが空回りしやすい。ASRはこれを検知してエンジンの出力を制御し、スムーズな発進と走行安定性をサポートするのだ。同様の機能を持つシステムを、乗用車では「トラクションコントロール(TCS/TCL)」と呼んでいる。

・IBCコンテナ

これはパーツやシステムではなく、液体の荷物を入れる容器の一種。高密度ポリエチレン製の液体輸送用タンクを、金属製の枠で囲ったもののことだ。1t程度の液体や粉体を効率よく運び、コンテナのように積み重ねて保管できるという利点を持つ。国際規格(ISO)に準拠しており、国内のみならず世界中で繰り返し利用されている。現代物流においては、スタンダードな容器なのだ。

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