燃費はエンジンの操作だけでなく、荷物の重心や左右バランス、固縛の徹底によって車両の安定性を高めることで、タイヤの摩耗を防ぎ経費削減につながる。
走り出す前から燃費は決まっている

トラックの燃費というと、エンジン性能や運転の仕方に目が向きがちだ。もちろん急発進や急加速を避けること、一定速度で走ることは燃費改善の基本である。しかし、現場で意外と見落とされやすいのが「荷物の積み方」だ。同じ重さの荷物を運んでいても、積む位置やバランスが悪ければ、車両に余計な負担がかかり、結果として燃費に影響することがある。つまり燃費は、走り出す前の荷台の中でもすでに決まり始めているのである。
重心と前後左右のバランスを整える

まず重要なのが重心だ。重い荷物を高い位置に積むと、車体の重心が上がり、カーブや車線変更時にふらつきやすくなる。ドライバーは自然と速度を落としたり、ハンドル操作を慎重にしたりするため、走行リズムが乱れやすい。また、車体の揺れが大きくなれば、サスペンションやタイヤにも余計な負担がかかる。荷物は可能な範囲で低く、重いものを下に、軽いものを上に積むのが基本だ。これは安全のためだけでなく、無駄なエネルギーを使わない走りにもつながる。
荷物が左右どちらかに偏った「片荷」も燃費に悪影響を与える。片側だけに荷重が集中すると、その側のタイヤに大きな負担がかかり、転がり抵抗が増える可能性がある。さらに、車体がわずかに傾いた状態で走ることになり、直進安定性にも影響する。ドライバーが無意識にハンドルで補正しながら走れば、それも小さなロスになる。ひとつひとつはわずかでも、長距離を走るトラックでは積み重なれば大きい。荷台全体を見て、左右のバランスを整えることは、現場でできる燃費対策のひとつだ。
荷物の前後位置も大切である。前寄りに積みすぎれば前輪やステアリング系に負担がかかり、後ろ寄りに積みすぎれば駆動輪や後輪側に負担が偏る。とくに積載量が多い車両では、軸重のバランスが崩れることでタイヤの摩耗やブレーキの効き方にも影響が出る。燃費だけでなく、制動距離や車両の安定性にも関わるため、荷物はできるだけ荷台全体に均等に分散させたい。積める場所に積むのではなく、走ったときに車両がどう動くかを考えて積むことが重要だ。
空気抵抗と固縛によるロスを防ぐ

平ボディや幌車では、積み荷の形状による空気抵抗も無視できない。荷物が荷台から大きくはみ出していたり、前面に風を受けやすい形で積まれていたりすると、走行中の抵抗が増える。高速道路では速度が上がるほど空気抵抗の影響も大きくなるため、燃費悪化につながりやすい。可能であれば荷姿を整え、シートをきれいに張り、風が乱れにくい状態を作ることが望ましい。見た目が整った積み方は、実は走りにも効いてくる。
積み荷が走行中に動く状態も避けたい。荷物が前後左右に揺れると、そのたびに車両へ余計な力が加わる。急ブレーキや段差だけでなく、通常走行中の小さな揺れでも、積み荷が不安定なら車体挙動は乱れやすくなる。しっかり固定されていない荷物は、安全面で危険なだけでなく、結果的に運転操作を慎重にさせ、燃費にも悪影響を与える。固縛は「落とさないため」だけでなく、「安定して走るため」の作業でもある。
上手な積み方が安全と経費を守る

トラックの積み方は、単なる作業効率の問題ではない。重心、左右バランス、前後配分、空気抵抗、タイヤへの負担、そして固縛状態。これらが整っている車両は、走りが安定し、ドライバーも余計な操作をしなくて済む。結果として燃費の悪化を抑え、タイヤや足まわりの寿命にも良い影響を与える。荷物を積む時間は、運行前の準備であると同時に、燃費と安全を整える大切な工程だ。うまい積み方は、会社の経費と現場の安全を同時に守っているのである。
