ミキサー車が運んできた生コンクリートを受け取り、高所や建物の奥まで送り届けるのがコンクリートポンプ車。折り畳み式の長いブームと強力なポンプを組み合わせ、打設作業の省力化とスピードアップを支えている。
ミキサー車は運び、ポンプ車は送り込む

建設現場でよく見かけるミキサー車とコンクリートポンプ車は、形も役割も大きく異なる。ミキサー車の仕事は、生コンクリートを工場から現場まで運び、ドラムを回転させながら固まりにくい状態を保つこと。一方のポンプ車は、到着した生コンクリートを後部のホッパーで受け、輸送管を通じて施工場所へ送り込む機械だ。
つまり、ミキサー車だけでは高層階や建物の奥、橋脚の上などへ効率よくコンクリートを届けられない。かつてはバケットや小型運搬車、人力のネコ車などで移送していたが、ポンプ車の普及によって打設作業は大幅に省力化され、工期短縮にもつながった。建物を造る現場では、両者が交互に連携することで作業が進んでいく。
長い腕の中には輸送管が通っている

ポンプ車の目立つ長い腕は「ブーム」と呼ばれる。クレーンのように荷物をつり上げる装置ではなく、生コンクリートを運ぶ輸送管を支え、必要な場所まで導くためのものだ。
ブームは複数の関節を持つ折り畳み式が主流で、油圧シリンダーによって伸ばしたり、曲げたり、左右へ旋回させたりできる。走行時には車体上部へ小さく畳み、現場では障害物を避けながら建物の上や奥へ展開する仕組みになっている。国内では39m級、海外では70m級のブーム車も登場しており、まさに巨大な可動式配管といえる。
ポンプには主にピストン式やスクイーズ式があり、押し出された生コンクリートは管内を連続して進む。ただし、砂利を含む重い材料を高い圧力で送るため、ブームやホースには脈動と振動が発生する。先端ホースが大きく振れないよう、吐出量を調整しながら操作する技術が求められるのだ。
長いブームを支えるのは足元と連携

長いブームを伸ばす前には、車体の左右へアウトリガーを張り出し、ポンプ車を安定させる。地盤が軟らかい場所や傾斜地では、敷板を使って荷重を分散しなければならない。設置状態が悪ければ、ブームの重さや圧送時の振動によって車体が傾く危険もある。
作業中は、オペレーターがリモコンでブームとポンプを操作し、先端では作業員がホースを持ってコンクリートを流し込む。両者の合図がずれれば、突然の吹き出しやホースの振れにつながりかねない。労働安全衛生規則でも、輸送管やホースを確実に接続・固定し、操作担当者と先端作業員の連絡方法を定めるよう求めている。
コンクリートポンプ車の長い腕は、遠くへ届かせるためだけの装備ではない。狭い現場で配管作業を減らし、生コンクリートを必要な場所へ正確かつ連続的に届けるための装置だ。ミキサー車が材料を運ぶ主役なら、ポンプ車は建物へ命を吹き込む主役といってよい。
