巨大なケーブルの糸巻きをどう運ぶ? ケーブルドラム輸送の世界

電力ケーブルや通信ケーブルを巻いた巨大なドラムは、ただの丸い荷物ではない。重く、転がりやすく、端部も傷められないため、積み方も固定方法も独特だ。

なぜケーブルは巨大なドラムに巻かれるのか

電力ケーブルや通信ケーブルは、長いものになると何百メートル、場合によってはそれ以上の長さになる。これをそのまま束ねるだけでは、ねじれや折れ、被覆の傷みが起きやすい。そこで使われるのが、木製や鋼製のケーブルドラムだ。

ドラムに巻いておけば、一定の曲げ半径を保ったまま保管や運搬ができる。現場では必要な長さだけを引き出しやすく、敷設作業にもつなげやすい。つまりドラムは単なる容器ではなく、ケーブルを守りながら運び、その後の施工まで支える機材なのだ。

しかも中身が重い。大型の電力ケーブルを巻いたドラムは直径も幅も大きくなり、一本で数トンに達することも珍しくない。丸くて重いというだけでも運びにくいが、そこに「傷を付けられない」という条件が加わるため、一般貨物とはまったく違う扱いが求められる。

運ぶときは「丸い荷物」ではなく「転がる荷物」と考える

ケーブルドラム輸送でまず重要なのは、転がりをどう止めるかだ。ドラムは円形なので、そのまま荷台へ載せれば発進、ブレーキ、カーブのたびに動こうとする。そこで荷台には木製の当て木や受け台を設け、ドラムの両側へ止め木を入れ、転動を防ぐ。

固縛も独特になる。ベルトやチェーンを強く掛ければ安全とは限らない。締め付け位置が悪ければ、ドラムのつばを傷めたり、ケーブル自体へ余計な負荷をかけたりするからだ。重心を見ながら左右均等に押さえ、荷台との一体化を図る必要がある。

また、ドラムには回転方向や引き出し方向の指定がある場合も多い。横倒しで積むのか、立てた状態で運ぶのかも、サイズや構造、荷台の仕様によって変わる。見た目は単純な丸太のようでも、実際には向きの管理まで含めた繊細な輸送なのである。

荷降ろしして終わりではなく、施工までつながっている

ケーブルドラム輸送の難しさは、目的地へ着けば終わりという仕事ではない点にある。建設現場や変電設備の現場では、荷降ろし後にそのままドラムスタンドへ載せ、ケーブルを繰り出す場合が多い。つまり運送の段階でドラムを傷めたり、向きを間違えたりすると、その後の敷設作業にまで影響が及ぶ。

荷降ろしでもフォークリフトだけで済むとは限らない。大径ドラムではクレーンを使い、軸穴へシャフトを通して慎重に吊ることもある。無理に爪を差し込めば、つばの破損やケーブルの偏りにつながりかねない。現場によっては狭い構内や未舗装地へ入るため、搬入ルートの確認も欠かせないだろう。

巨大なケーブルドラム輸送は、重い荷物を運ぶだけの仕事ではない。ケーブルを傷めず、転がさず、次の敷設作業まで見据えて運ぶ必要がある。丸い糸巻きのように見える荷物の裏側には、物流と施工をつなぐ確かな技術が詰まっているのだ。

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