トラックがバックするときに鳴る「ピーピー」という音は、周囲に車両の後退を知らせるためのバックブザーだ。運転席から見えにくい後方の歩行者や作業員に注意を促し、接触事故を防ぐ役割がある。その仕組みや必要性を整理。
バックすると「ピーピー」と鳴るのはなぜ?
トラックやバスなどが後退するとき、「ピーピー」「バックします」といった音を聞いたことがある人は多いだろう。
この音を出している装置は、法令上は車両後退通報装置と呼ばれ、一般にはバックブザーやバックアラームとも呼ばれる。主な役割は、車両がこれから後退することを周囲の人に知らせることにある。道路運送車両の保安基準でも、この装置は「自動車が後退している旨を歩行者等に通報する装置」と定義されている。mlit.go+1
特にトラックは車体が大きく、運転席から車両の真後ろを直接確認しにくい。バックカメラやミラーを装備していても、死角を完全になくすことは難しい。
物流センターや倉庫、工事現場などでは、車両のすぐ近くを作業員が歩いている場合もある。そこで音による注意喚起を行い、「この車両はいま後退している」と周囲に知らせるのが車両後退通報装置の役割だ。
装備は義務の場合がある
バックブザーは、すべての自動車に一律で義務づけられているわけではない。ただし、現在の道路運送車両の保安基準第43条の10では、一部の車両を除き、車両後退通報装置を備えなければならないとされている。
対象には、車両総重量が3.5トンを超える貨物自動車や、乗車定員が10人以上かつ車両総重量が3.5トンを超える乗用自動車などが含まれる。
また、車両後退通報装置は原則として、作動を停止させる機能を持たないこととされている。後退時車両直後確認装置など、一定の条件を備える場合は例外がある。

バックブザーはどうやって作動する?
一般的な車両後退通報装置は、トランスミッションをリバース位置に入れたことをきっかけに作動する。
より正確には、後退ギアが選択され、推進システムがオンのときに作動する仕組みとされている。そのため、単にシフトレバーを「R」に入れただけでは鳴らず、エンジンやモーターなどが作動している状態で後退操作が行われたときに音が出る。
シフトを「R」に入れると後退灯が点灯するが、後退灯と車両後退通報装置はいずれも後退操作に連動する。ただし、両者は別の装置であり、保安基準上の要件も異なる。
音の種類は車両や装置によって異なる。単純な「ピーピー」という電子音だけでなく、「バックします。ご注意ください」と音声で知らせるタイプもある。法令上は、音声信号を用いる車両後退通報装置も想定されており、通報音の音色や音量などについて基準が定められている。
音量や音色には基準がある
最近では、周囲の騒音や状況に応じて音量や音色を調整するタイプ、一定方向に音を伝えやすくした装置なども使われている。
ただし、装備義務のある車両では、通報音は「歩行者等が確実に聞き取ることができる」ものである必要があり、音色や音量などに関して告示で定める基準に適合しなければならない。音量の自動調整機能があるからといって、自動的に法令要件を満たすわけではない。
音声式装置と電子音式装置を併用する場合には、自動車後方1mの位置での音の大きさの合計が92dB以下であることなども定められている。
