2024年問題でトラック輸送力の不足が懸念されるなか、フェリーを活用したモーダルシフトが加速している。最新船は大量のトラック輸送に加え、ドライバーの休息確保やCO2削減にも貢献し、物流を支える新たな選択肢となりつつある。
2024年問題で注目されるモーダルシフト

「物流の2024年問題」が、本格的に動き出して2年以上が経過した。2024年4月に施行された働き方改革関連法により、トラックドライバーの時間外労働には年間960時間の上限が課されている。これまで現役ドライバーの長時間労働によって支えられていた国内の物流網は、今まさに大きな曲がり角を迎えているといってよい。何の手も打たなければ、2030年には営業用トラックの輸送能力が34.1%も不足するという試算もあり、物流の停滞は社会経済を揺るがす重大な危機となりつつあるのだ。
こうした課題に対する打開策として、注目を集めているのが「モーダルシフト」である。これまでトラック1本で陸送していた長距離貨物輸送の一部を、鉄道・フェリー・RO-RO船(トレーラーやトラックが自走して乗下船できる甲板を備えた貨物船)などといった、鉄道・海上輸送へ切り替えるという手法である。
こういった流れに対し、フェリー運航各社も新たなビジネスチャンスと捉えて、精力的な動きを見せている。陸上輸送からの切り替えを促すため、トラックの運行サイクルに合わせた就航ダイヤに見直しを進めるほか、最新鋭の大型フェリーを相次いで投入しているのだ。
また、海上輸送ではトラックを停止状態で輸送するため、CO2排出量を抑制できるというメリットがある。そこでフェリー運航各社は、船舶の動力もディーゼル燃料によるものから、環境負荷の低いLNG(液化天然ガス)燃料に転換を図るなど、クリーンな輸送インフラとしての魅力を強力に訴求し始めている。
最新フェリーは物流仕様へ大きく進化

具体的な事例としては、商船三井さんふらわあが大洗〜苫小牧航路に投入した「さんふらわあ・かむい」と、「さんふらわあ・ぴりか」がそれである。全長約199.4m、総トン数約1万5600tにおよぶ本船は、13m級トラック約155台を収容可能。船内レイアウトも刷新し、かつて主流だった大部屋を全廃して完全個室化を実現。船首側にはトラックドライバー専用の「ドライバーズルーム」を完備し、長距離運行の合間に上質な休息を提供できる設計となっているのだ。
さらに特筆すべきは、卓越した環境性能である。向かい風を推進力へと変換する独自の「ISHIN船型」と、最新のLNG二元燃料エンジンを組み合わせることで、従来船と比較して約35%ものCO2排出量削減を実現。同社はこの2隻を、貨物輸送に特化した「深夜便」(午前1時出港・当日夜着)に配船した。航海時間をそのままドライバーの貴重な休息時間に充てられるほか、道路渋滞や悪天候による到着遅延、交通事故リスクを回避できる強みをアピールしている。
貨物特化型フェリーが物流を支える

また、日本海側で本州と北海道を結ぶ新日本海フェリーも、意欲的な取り組みを見せている。舞鶴〜小樽航路に投入された新造船「けやき」は、あえて船体を小型化(ダウンサイジング)して旅客定員を絞る一方、トラック積載数は約150台と従来水準を維持。「観光客向け」から「貨物・物流特化型」に、振り切った設計になっているのだ。
最新鋭の省エネ船型や減揺装置でエネルギー消費を5%削減し、深夜発・夜着のダイヤでモーダルシフトを強力に後押しする。ドライバーの労働環境改善と脱炭素を両立するフェリー活用型のモーダルシフトは、これからの国内物流を支える現実的かつ不可欠な解決策として、確固たる地位を築きつつあるようだ。
