道路工事で見かける、荷台を厚いシートで覆ったダンプトラック。積んでいるのは高温のアスファルト合材だ。品質を保ったまま施工現場へ届けるには、温度低下を抑えることが重要になる。シートや運搬時間、現場との連携には、舗装品質を守るための理由がある。
アスファルト合材は冷えると施工しにくくなる

道路工事の現場では、荷台を厚いシートで覆ったダンプトラックが何台も並んでいることがある。その荷台に積まれているのが、道路舗装に使われるアスファルト合材だ。
アスファルト合材は、砕石や砂、石粉などにアスファルトを加え、加熱しながら混合してつくられる。合材工場で製造されたあと、ダンプトラックに積み込まれ、施工現場まで運ばれる。
普通の土砂運搬と大きく違うのは、積み込んだ瞬間から「温度との勝負」が始まることだ。
アスファルト合材は高温の状態では柔らかく、アスファルトフィニッシャで敷きならしたあと、ローラで締め固めることができる。しかし時間が経過して温度が下がるにつれ硬くなり、施工しにくくなる。
十分に締め固められなければ空隙が増え、水が入りやすくなるほか、早期のひび割れや舗装の耐久性低下につながる可能性もある。このため合材は、工場を出てから敷きならし、転圧するまで温度管理が欠かせない。
元原稿では、国土交通省の品質管理資料に舗設現場での混合物温度について「110℃以上」という管理値が示されているとしている。ダンプの役割は、単に合材を運ぶだけではなく、施工できる状態を維持したまま届けることにある。アスファルト
荷台のシートはなぜ厚い?

そこで重要になるのが、ダンプの荷台を覆っている「合材シート」だ。
合材シートには、積み込んだアスファルト合材を外気や走行風から守り、熱が逃げるのを抑える役割がある。特に気温が低い冬場は温度が下がりやすく、複数枚のシートを重ねたり、断熱性の高い保温シートを使ったりすることもある。
元原稿で引用している国土交通省の寒冷期施工資料では、帆布を2~3枚重ねる方法などが示されており、合材シート1枚と2枚では、表面温度に約10℃の差が生じた例も紹介されている。アスファルト
さらにシートには、雨から合材を守る役割もある。舗装作業では施工面が乾燥していることが重要で、雨天時には施工できないケースもある。運搬中に合材を雨水にさらさないためにも、荷台をしっかり覆う必要がある。アスファルト
一見すると単なる荷台カバーに見えるが、実際には舗装品質を守る重要な装備なのである。
ダンプの到着時間まで舗装品質を左右する

もうひとつ重要なのが、ダンプの運行と現場作業のタイミングだ。
舗装現場では、アスファルトフィニッシャの作業速度に合わせ、複数台のダンプが順番に合材を供給する。ところが道路の渋滞や施工機械のトラブル、交通規制などで作業が止まれば、ダンプは高温の合材を積んだまま待機することになる。
当然、その間にも合材の温度は下がっていく。
反対にダンプの到着が遅れて合材の供給が途切れれば、舗設作業そのものを止めなければならない。このため合材工場、運搬するダンプ、施工現場が、出荷時刻や台数、走行時間、施工速度を調整しながら作業を進めている。アスファルト
道路脇で待機しているダンプを見ると、ただ順番を待っているように見える。しかし荷台の中では、その間にも合材の温度が少しずつ下がっている。
工場から現場までの距離、交通状況、気温、風、雨、施工速度――。さまざまな条件を読みながら熱い合材を適切なタイミングで届ける。私たちが普段走っているアスファルト舗装は、ダンプトラックを含めた緻密な「温度リレー」によって支えられているのである。
