トラックは最大積載量に達していなくても、荷台がいっぱいになれば満車になる。物流ではこれを「容積勝ち」と呼び、積載率や運賃、輸送効率を考えるうえで重要なポイントとなっている。
荷台は満杯なのに重量は半分?

トラックには最大積載量が決められている。10トン積みの大型トラックなら、おおむね10トンまで荷物を積めるわけだ。
ところが物流の現場では、最大積載量まで何トンも余裕があるのに、もう荷物を積めないことがある。
原因は「重さ」ではなく「大きさ」だ。
例えばティッシュペーパーや紙おむつ、発泡スチロール製品、空の樹脂容器などは、サイズの割に非常に軽い。こうした商品を荷台の床から天井近くまで積めば、荷室は完全に埋まってしまう。
ところが重量を量ると、10トン積みのトラックに5トンしか積まれていないこともある。この場合、重量だけで計算した積載率は50%だ。
数字だけ見れば「まだ半分積める」と思えるが、実際には荷室に空間がなく、もう1箱も載せられない。
このように、重量より先に荷台の空間を使い切る貨物を、物流業界では「容積勝ち」と呼ぶ。
「重量勝ち」と何が違う?

容積勝ちとは反対の状態もある。
鉄製品や飲料など重い貨物の場合、荷台にはまだ空間が残っていても、先に最大積載量へ達してしまう。こうした貨物は「重量勝ち」と呼ばれる。
つまりトラックには、「重さ」と「空間」という2つの積載限界がある。
軽くて大きな荷物なら、重量制限より先に荷室の長さ、幅、高さを使い切る。一方、重い荷物なら、荷室を使い切る前に最大積載量へ達する。
運送会社から見れば、どちらもそれ以上荷物を積めないため「満車」であることに変わりはない。
さらに容積は、荷物そのものの大きさだけで決まるわけではない。
段ボール箱のサイズがバラバラなら積み上げたときに隙間ができる。パレットと荷台の寸法が合わなければ、壁際などにデッドスペースも生まれる。
壊れやすい商品なら天井まで積み重ねることもできない。
そのため容積勝ちは、商品の大きさだけでなく、荷姿や積み方、パレット、商品の強度などにも左右される。
軽い荷物でも「1台分」になる

容積勝ちは運賃や物流効率にも関係する。
例えば重量がわずか2トンでも、その荷物が大型トラックの荷室をほぼ全部使ってしまえば、運送会社は空いている積載重量を別の荷物に利用できない。
荷主から見れば「2トンしかない荷物」でも、運送会社にとっては「トラック1台分を使う荷物」になるわけだ。
そのため、軽い荷物だから輸送負担も小さいとは限らない。
物流効率を高める方法のひとつが、重量勝ちと容積勝ちの貨物を組み合わせることだ。
軽くて大きな荷物と、重いが比較的小さな荷物を同じ車両に積めれば、荷台の空間と最大積載量の両方を効率よく利用できる可能性がある。
ただし、配送先や納品時間、商品の特性、荷降ろしの順番、重量配分などを考える必要があり、単純に空いている場所へ積めばいいわけではない。
物流では「あと何トン積めるか」だけでなく、「あと何立方メートル使えるか」「あと何パレット載るか」も重要になる。最大積載量に達していなくても、荷室を使い切ればトラックは満車だ。
物流における「満載」は、重量計の数字だけでは決まらないのである。
