高速道路は安全性を考えて設計された道路だが、重大事故は後を絶たない。ながら運転や車間距離不足、無理な割り込み、追い越し車線の走行など、事故を招く要因は多い。危険な空間から距離を置く意識が、自衛につながる。
安全なはずの高速道路で事故が起きる理由

見通しが良く視界が大きく開けた高速道路は信号や交差点が存在しないため、最も安全で快適に走行できる交通インフラであるはずだ。物流を支える大型トラックから一般の乗用車まで、実に多種多様な車両が行き交っている。このように、安全に走行できるように設計されているはずなのに、なぜ重大事故が絶えないのだろうか。直線が多く障害物も少ない環境下で凄惨な事故が多発する背景には、単なる運転ミスを超えたドライバーの意識低下と、交通社会が抱える構造的な課題が複雑に絡み合っていると考えられる。
高速道路における深刻な事故の典型例は、渋滞最後尾への激しい追突や、追い越し車線上における多重衝突事故だとされる。その大きな要因となっているのが、ドライバーの集中力欠如とリスク管理に対する意識の甘さだ。近年、とくに問題視されているのがスマートフォンに目を落としたままハンドルを握る、「ながら運転」や漫然運転である。これは、故意に等しい重大な過失と言わざるを得ない。さらに、十分な車間距離を確保せずに前走車へ肉薄する「あおり運転」も後を絶たない。万一の際に危機を回避できるだけの安全マージンを自ら放棄する走行は、決して運転技術の高さを誇示するものではなく、自らの運転能力を過信した愚行に過ぎないのだ。
大型トラックの安全スペースを奪う危険

一方、交通の現場において常に事故リスクと隣り合わせで走るプロドライバーが置かれている立場にも目を向ける必要があるだろう。物流を担うトラックドライバーは、厳格な時間指定・過酷な行程・法律などで管理された勤務体系などの中で運行をしている。彼らは事故を防ぐために、意識して十分な車間距離を空けて走行しているが、その安全スペースへ強引に割り込んでくる一般乗用車が少なくないのだ。車重がある大型車両は、急に停止することができない。無理な割り込み行為は、大事故を引き起こす引き金となりかねないのである。
事故を避けるには危険から距離を置く

こうした交通環境の中で事故の被害者とならないためには、ドライバー自らが適切な自衛策を講じるほかない。もっとも効果的な防御手段は、潜在的なリスクが集中する空間から意図的に距離を置くことである。速度域が高く車間距離が詰まりがちな追い越し車線は、常に事故の発生確率が高い。また、社会問題化している高速道路の逆走事故においても、逆走車は自らの感覚に従ってキープレフトのつもりで走るため、正規走行側から見れば追い越し車線を向かってくるケースが多いのだ。そもそも、追い越し車線を走り続けることは法律違反であり、後続車によるあおり運転を誘発するリスクも孕んでいる。
速度を上げて追い越し車線を走り続けたとしても、最終的な到達時間に生まれる差はごくわずかに過ぎないとされる。過度な速度超過は高価な燃料を浪費するだけでなく、事故を起こした際の代償があまりにも大きすぎるのだ。交通法規に則って走行車線を走ることこそが、身勝手な運転者や不測の事態から自らの身を守る最大の防壁となるといえよう。車間距離の持つ重みを再認識し、他者への配慮と譲り合いの精神を持つことで、不幸な事故を減らし、安全な交通社会を築く第一歩となるのではないだろうか。
