
一般的にはトラックの一種として認識されているトレーラーだが、これはトラクタ(トレーラーヘッド)の後部に荷台部分が連結されているスタイルのトラックのことだ。このトレーラーを運転するにはコツがいることと、一般乗用車やトラックでは起こりえない現象がいくつかある。そこでトレーラーならではの特徴的なポイントを説明していこう。
「ジャックナイフ現象」は、名前のとおりトラクタ(運転席部分)と荷台部分がくの字に曲がってしまうことを指す。この状態がジャックナイフ(折り畳み式ナイフ)の曲がった姿に似ているのが由来だが、こうなるとトレーラーは操縦不能になってしまう。ジャックナイフ現象が起こる原因はいくつかあるが、主に主な急ブレーキ・急ハンドル・急旋回などの急な行動、積荷の偏りと言われている。

ではここでトレーラーの構造について解説を加えてみよう。トレーラーはカプラという装置によってトラクタと連結されている。そしてカプラは左右に動くため。急ブレーキや急ハンドル時には、トラクタ側が曲がっていてもトレーラー部分は直進しようとするため、後部だけが横滑りして「く」の字に曲がってしまうのだ。
さらに、トレーラーは重心を安定させるためにタイヤの真上に重めの荷物を配置することが多いが、荷物の載せ方に偏りがあるとバランスを崩し、急な行動をした際にジャックナイフ現象が起こる。
このジャックナイフ現象が起こると、最悪は転倒事故にもつながってしまうため、急な操作を避けることや荷物をバランスよく積むことが予防策となる。車種によってはジャックナイフ現象防止のために横滑り防止装置が装着されているものもある。
このようなジャックナイフ現象の他にも、トレーラーならではの現象もあるので、いくつか紹介しておこう。

トレーラースイング現象
タイヤがロックされることで、外側にトレーラーが大きくスイングしてしまう現象。カーブでの急ブレーキや悪路すぎることで起こるケースが多い。トレーラースイング現象は後部が大きく振られるため、他車を巻き込む危険性が高い。
プラウアウト現象
プラウアウト現象とはトレーラーの前輪が滑り、ハンドルやブレーキの操作が効かなくなる状態のこと。こうなるとトレーラーがまっすぐ進み続け、制御不能に陥ってしまう。前輪がロックしてしまったらブレーキを解除してハンドル操作で修正するしかない。
スネーキング現象
スネーキング現象とは、トレーラーの連結部が曲がったまま操縦不能になる現象のことで、蛇のようにクネクネと曲がってしまうため、スネーキング現象と名付けられている。スネーキング現象の主な原因は重量の不揃い、タイヤの空気圧の不揃い、スピード超過、道路のうねり、横風などが挙げられる。
