貨物も守るため! 重要なのはシート掛け

トラックドライバーの運転技術はまさに職人技といえるが、実はそれと同じくらいスゴ技を必要とする作業がある。それが「シート掛け」だ。バンタイプのトラックの場合は荷物が室内にあるのでシート掛けをすることはないが、平ボディ(平トラック)の場合は、荷物を雨風から守るためや、荷崩れを防ぐためにシートが使用され、そこにシート掛けという技術が必要となるのだ。

平ボディトラックに使われるシートは荷物を外部の環境から保護し、安全に目的地まで輸送するためには必要不可欠なアイテムである。とくに悪天候や強風の日はシートによって荷物の損傷リスクを下げることができる。また防水性や耐久性に優れたターポリン製のシートは、雨風はもちろん、紫外線や塵埃からも貨物を守る重要な役割を果たしている。

こうしたシートは種類や大きさも様々で、使用する平トラックのサイズに合わせて選ぶことがポイントとなる。サイズが小さすぎるとシートで荷物がはみ出たり、かといって大きすぎると余分な部分が風を受けて安全性が低下するなど、強度や耐久性、重量といった部分も考慮してチョイスする知識が求められる。

ここで少しシートの種類について説明しておこう。シートにはさまざまな種類があり、もっとも一般的なのがターポリンシートだ。そのほかに強度や耐久性、防水性に優れたPVC(ポリ塩化ビニール)製のものや、軽量で取り扱いやすいPE(ポリエチレン)製のシートなどが使われている。いずれも使用目的によって最適なものを使うことになる。

では実際のシート掛け作業とはどんなものなだろうか。

シート掛けをするにあたり、シート以外もゴムロープやシート掛けバンド、ウインチ、カッターなどが必要となる。シートを掛ける前には、シートに破れや穴がないかなど一通りの点検を行うのが第一歩だ。

その後、トラックにシートを乗せるわけだが、大きなシートになると、シート自体の重量が30㎏にもなるためケガなどをしないように注意が必要だ。そしてシートを広げるコツだが、均等に力を加えることが重要なのだ。シートを片方から順に広げていくとシートが斜めになったり、たるんだりすることがあるため、中央から外側へ向かって同時に広げるのが効率的と言える。

そしてメインのシートを固定する方法だが、シートを固定するには、トラックの荷台やフレームに設置されたシート留め具を使用し、シートの端にあるハトメにロープやバンドをとおし、留め具にしっかりと結びつける。さらにシートの四隅は特に丁寧に固定し、走行中にシートが緩んだり、風で持ち上がったりしないようにするのが経験からくる職人技の部分でもある。ただ荷物にシートをかぶせるだけでなく、運搬時の安全と荷物の損傷を防ぐことを目的としてシート掛けをすることが重要なのだ。

逆に効率的にシートを畳むためには、畳む場所を確保した上で、地面の汚れやないことや、シートの損傷を防ぐ為に鋭利なものがないかのチェックが必要となる。

平ボディのトラックにとってシート掛けは重要な作業だが、じつは結構な重労働でもある。先ほども説明したとおり、シートは大きくなると重量が何十キロとなるため、シートを掛けるだけでも1時間以上かかるということも珍しくない。

慣れてくればシート掛けにかかる時間も短縮できるのだが、初心者のうちは2時間ほどかけてシートを掛け、畳むのに1時間などといったケースもあるようだ。

バンボディにはない作業だが、それは良し悪しと言ったところで、シート掛けがないバンボディであっても。その分荷物の上げ下ろしや運搬がある。

このことを実際のトラックドライバー目線で考えると、平ボディはシート掛けが面倒だけど、降ろし場に着いたらクレーンで荷物をぱっと下ろすだけだから楽だと言う見方もある。

もちろんその逆で、シート掛けするくらいなら荷物を運び込むほうが楽だという意見もあり、最終的には好みの問題というところだろう。

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