
バンパーといえばクルマの前後に付いているパーツのことを思い浮かべる人は多いはず。いわゆるフロントバンパー、リアバンパーと呼ばれる衝撃吸収装置のことだ。乗用車の場合、前後にバンパーが装着されるのが普通だが、トラックの場合はもう1か所、ボディの横にバンパーが増える。これがサイドバンパー(サイドガード)だ。
このサイドバンパーは、トラックの側面部分(左右)に設置されて、その形は板状あるいはパイプ状であるため、一般的な乗用車のバンパーとは見た目も異なる。よく見かけるサイドマーカーを取り付けているパーツといえば想像しやすいかもしれない。

このサイドパンバーの役目はいくつかある。最も大きな役目としては右左折時の巻き込みによって歩行者や自転車がトラックの車輪で轢かれるのを防ぐことだ。さらに歩行者や自転車との接触時には、衝撃を軽減する効果が期待できる。
車高が高いトラックは、車体も長く死角も乗用車と比較すると多いため、巻き込み事故を起こしやすい構造といえる。サイドバンパーは、その巻き込み事故の防止や歩行者、自転車の安全を確保するために必要かつ重要な装置なのだ。
しかしこうしたサイドバンパーだが、トラックの車種によって保安基準が異なるため、すべてのトラックに装着されているわけではないうえに、その形状も様々だ。

まずサイドバンパーは「道路運送車両法」によって定義されており、その保安基準は『地上高さは上縁650mm以上、下縁450mm以下、前輪および後輪との間隔400mm以下』となっている。
また普通自動車に該当するトラックの場合も、「車両総重量 8トン以上又は最大積載量5トン以上のものを除く」か「車両総重量 8 トン以上又は最大積載量5トン以上」でサイドバンパーの取り付け要件が変わってくる。
普通自動車(車両総重量8トン以上又は最大積載量5トン以上のものを除く)という条件のトラックは、比較的小さい部類となる。そのためサイドバンパーは歩行者などが後車輪に巻き込まれる恐れが少ない構造であれば良いとされているのだ。つまり鋼管1本などの形状を有する巻き込み防止装置でも基準に適合するというわけだ
逆にサイドバンパーなしでも車検に通るトラックもある。それが「4ナンバー(小型貨物自動車)に該当するトラック」「乗車定員が11人以上の自動車、及び形状が乗車定員11人以上の自動車の形状に類する自動車」だ。

最後にサイドバンパーと車検について説明しておこう。取り付け義務があるトラックは、サイドバンパーが取り付けられていないと車検に通らないのは当然だが、破損している場合も車検は通らない。風雨にさらされるサイドバンパーは著しい錆の発生や変形してしまうと、その機能を保持できないため、確実に取り付けがされている、変形や破損がない、などを確認することが重要なパーツということだ。