加藤製作所の新型クレーン&油圧ショベルがスゴイ

クレーン車&油圧ショベルといえば、あらゆる土木・建築現場で欠かすことのできない建設機械だ。バリエーションも広く、用途に合わせて様々な機種が用意されている。当然のことながら、複数のメーカーが相次いで新型機をリリースしているので、性能競争は激化の一途を辿っているようだ。

そんな背景の下、加藤製作所が大型機種を新たに登場させた。それが、ラフテレーンクレーンの「SL-500RfⅢ」と油圧ショベル「REGZAM HD823MR-8」である。共に、近年の新型建機のトレンドともいえる、環境性能・経済性能・操作性能・安全性能などの大幅な向上に加えて、オペレーターの労働環境改善にも力を入れている。

「SL-500RfⅢ」には、カミンズ製エンジンが搭載された。同エンジンは、環境問題にシビアな欧州の排気ガス規制のなかでも、最も厳しいとされる「StageⅤ」をクリア。さらに、国土交通省の「低騒音型建設機械」の指定を受け、さらに「2020年燃費基準達成建設機械」の認定取得も予定しているのだ。すなわち、大型ディーゼルエンジンのなかではトップクラスの環境性能を備えているといえるのである。

また、クレーン操作時には油圧ポンプの吐出量を最小限に抑えたり、エンジン回転数を抑制して仕様燃料を抑えたりして、作業時の燃費向上を図っている。作業性の最適化としては、ブームの伸縮モードを強度域性能と安定域性能のそれぞれに合わせて設定し、作業の状況を考慮した柔軟な対応が可能になった。

搭載されている先進安全装置で目を引くのは、なんといっても人検知アシストカメラであろう。これは、被写体を人として検知すると視覚・聴覚的に警告を発するというもの。さらに、超音波センサーを利用した障害物検知システムも搭載している。大型の建設機械は死角が多いから、こういったシステムが導入されれば、事故を未然に防げるようになるのではないだろうか。

「REGZAM HD823MR-8」に搭載されたエンジンも、「StageⅤ」や国土交通省の「特定特殊自動車排出ガス規制2014年基準」に適合するなど、環境に配慮されている。また、燃費に関しても国土交通省が地球温暖化対策の一環として行っている「燃費基準達成建設機械認定制度」の2020年基準を100%達成。同時に「超低騒音型建設機械」の指定も申請中とのことだ。

注目すべきは、メンテナンス性の高さである。DPF(ディーゼル・パティキュレート・フィルター、粒子状物質を取り除くフィルター)のメンテナンスサイクルを延長するために、排出ガス後処理ユニットを搭載。さらに、ヒートバランスを向上させるために新型ラジエターの採用と、これに合わせたエンジンルーム内のレイアウトを変更した。これにより、冷却水量や作動油量を少なくしてメンテナンスの手間を省いている。

「2024年問題」による人手不足は、何もトラックドライバーだけの問題ではない。建設作業員も同様で、とくに建設機械に関してはオペレータや整備士などの不足が深刻化しているのだ。安全システムの導入やメンテナンスの簡素化により、現場にかかる負担が少しでも軽くなるように、建機メーカーも日々努力を重ねているのである。

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