
「コイル材」は材料鋼板の一種で、通常の平板の鉄板でロール状に丸められた材料のこと。1ロールあたりの重さは約1〜2トン、大きいものでは19トンになるものもある。
このコイル材をトレーラーで運搬するときは、その重量と独特な形から一般的な荷物とはやり方や注意点が異なっている。先ほども少し触れたが、コイル材はとにかく重い。加工しやすいようプレス加工で薄い板にして、ロール状に何重にも巻かれるため、金属の種類にもよるが、1ロール当たりの重さは約1〜2トン、大きいものでは19トンにも及ぶのだ。
さらに形状が丸いため、コイル輸送は特殊車輌によって運ばれることも珍しくない。
こうしたコイル材はコイル自体のサイズが小さくても、コイルの重量とトラックの重量を合わせた総重量が20トン以上になると、特殊車輌扱いになるため許可申請が必要となる。さらに総重量が20トン以下だとしても、コイルのサイズが大きい場合は、高さや幅が車輌の制限を超え、特殊車輌扱いになることもある。
そして、この重量があるコイルは丸まっているために安定しないという特徴がある。また積載時の固定する意味がふたつあり、ひとつは振動でコイルが転がらないようにするため、もうひとつは丸い形状なので、コイル同士がぶつかって破損してしまうことを避けるためだ。

さらにコイル輸送をするときは、コイルの表面が傷つかないようコイルの表面を梱包もしなければならないケースがある。これは金属材料によっては、外気や湿気に触れて錆びついてしまったり、輸送時に力が加わり凹んでしまったりすることが理由だ。
コイル自体の重さを考えると、万が一脱落した場合、まわりが受ける被害はとても大きくなる。そのためにコイルの固定は確実に行うことになる。
こうしたコイル材には積み方も独特で、「鉄砲積み」と「眼鏡積み」という方法があるので紹介しておこう。
「鉄砲積み」とは、荷台にコイル類を立て、穴を貨物車の前後を向くように積む方法だ。一方で「眼鏡積み」は荷台にコイル類を立てて、穴が車輌の側面を向くように積む。
コイルの重さと形状を考えると、運搬時には立てずに寝かせておけばいいのではと考えてしまうが、コイルの鋼板は、通常、内側と外側で層構造になっており、寝かせると内側の層が変形しやすくなるためNGなのだ。さらに寝かせた状態での運搬は、転倒や落下のリスクが高いのも、コイルを立てて運ぶ理由のひとつだ。
