
キャビン内のパーツでもっとも手に触れる機会が多いのがハンドル。そしてそのハンドルをドレスアップするのがハンドルカバーだ。ハンドルカバーは乗用車用もあり、トラック特有のパーツではないが、その実態を探るとドレスアップパーツというよりも、高い機能性を持ったアイテムだということがわかる。そこで今回はハンドルカバーに焦点を当ててみようと思う。
まずはハンドルカバーの役割だが、これは単純に室内のドレスアップというわけではない。どのハンドルカバーをみてもわかるとおり、取付け時には純正よりも太くなる仕上がりとなっている。そしてこの太さこそが重要なポイントで、ハンドルの太さが増して握りやすくなるため、運転が楽になるのだ。細いハンドルを握るよりも太いハンドルのほうが操作性がアップするというわけだ。
さらに純正のハンドルは細くて硬いものが多く、長時間運転していると手のひらが痛くなってくる。そこでハンドルを太くすることで長時間の運転でも掌が痛くないように保護してくれる役割も持っている。また運転中は常に手で持つハンドルはその分だけ汚れや劣化が激しい部分でもある。そこでハンドルカバーを付けることで、ハンドルが痛むのを遅くできるというわけだ。
このようにハンドルカバーは見た目だけでなく、実用性と運転のサポートをしてくれる優秀なパーツなのだが、素材や柄にも多くのバリエーションがある。
なかでも金華山と呼ばれる柄は昔からトラックの装飾には人気がある。通販サイトなどでトラック用のハンドルカバーを検索すると金華山と書かれた製品が多く見つかる。この金華山とは金華山織りのことを指す。金華山織は紋ビロードの一種で、緯糸(よこいと)に金糸・銀糸を織り込んで模様を織り出したもののことだ。金糸や銀糸で艶のあるビロードを表現していることから、見た目が豪華でデコトラのインテリア装飾にも多く使われているものだ。そのため、今でもトラックドライバーの間で人気のある柄となっている。


この金華山を筆頭に、シンプルな単色もあれば、表面加工もプレーンの以外にキルトやカーボン調など、その種類は数多くある。
こうしたハンドルカバーだが、取り付け方法に少しコツがいるようだ。
ハンドルカバーは運転操作の邪魔にならないように、ハンドルにぴったりとフィットするよう内側にゴムを使用しているのだが、この部分は形状を保つため硬く設計されている。そのため、ある程度力で引っ張りながら装着する必要があるのだが、初見ではなかなかうまくいかないケースが多いのだ。無理に引っ張ってしまうとハンドルカバーの縫い目が裂けてしまうこともある。
そこでハンドルカバーの取り付けのコツだが、ハンドルの向きを上下反転(180度回す)させた態で下へ引っ張りながら、ねじるように伸ばして取り付けるのが正攻法だ。
普段から目に付く位置にハンドルだけに、このハンドルカバーにこだわるドライバーは多いのだ。
