旧き佳き昭和の香りが残るオホーツクドライブイン

かつては、幹線道路のあちらこちらで目にしたドライブイン。高速道路のサービスエリアやパーキングエリアとは一味違う雰囲気を好むトラックドライバーは多い。最大の魅力は、工夫を凝らした割安感のあるメニューであろう。コンビニ弁当やファストフードも悪くはないが、チェーン店はどこに行っても画一化されたメニューになってしまう。ドライブインなら同じ経営者でも、店舗によってメニューが違うことも多い。しかも、お手頃価格となれば訪れない理由がどこにもないのだ。

特に北海道はとてつもなく広いから、町と町の間に店舗がほとんど存在しないところも少なくない。道を尋ねたときに「次の信号を曲がって」と教えられたが、その信号までの距離が何kmもあって、不安になったなどといわれるぐらいだ。そんなところにドライブインが存在したら、まさにオアシスだと思えるのではないだろうか。

そんなトラックドライバーの心のよりどころのひとつであるオホーツクドライブインは、道東にある北見市に店を構えている。札幌市の北に位置する旭川市から、東に215.2㎞離れた網走市までを結ぶ国道39号線。網走市の手前約43㎞に位置する北見市は、人口約11万人の道東中核都市だ。市街地から離れると、広大な田園地帯が広がっている。

田園風景のなかにある丘陵地に建つ、レトロな雰囲気を持った大きな建物が同店だ。丘の上にあるから、一帯の田園風景を一望できる。まさに、「ザ・観光スポット」といった雰囲気なのだ。初めて訪れた人はその景色に息をのみ、強く再訪を望むとさえいわれている。この風景だけでも、十分満足できるのではないだろうか。

店舗内は、お土産を売る物販コーナーとレストランに分かれている。物販コーナーでは北海道ならではの海産物をはじめとして、北見市名物のはっか製品や銘菓、農産物なども販売されている。また、揚げいも・焼トウモロコシといったスナック類もあるから、小腹が空いたときなどでも手軽に利用できるのだ。

レストランのおすすめメニューは、北海道の定番・味噌ラーメンと多くの種類がある海鮮丼だ。これらは、経営母体が水産会社であるために、ネタが厳選されていることに加えてお手頃価格で提供されている。なかでも人気はホタテを使ったメニューで、ホタテの漬け丼やホタテフライカレーは、老若男女を問わずに多くの注文が入るという。

夏場に行列ができるのは、北海道の生乳と銘菓「白い恋人」のホワイトチョコを合わせたソフトクリーム。コクがありながらしつこさのない味は、一度食べれば病みつきになること請け合いだ。広大な田園風景を眺めながら味わえば、ストレスなどは瞬時に氷解するのではないだろうか。

これだけ素晴らしいロケーションがあれば、さぞかしライバル店も多いのかと思いきや、周辺はドライブイン不毛の地と呼ばれるほど店舗がない。同店は、今や貴重なドライブインなのである。すでに開店から50年経っているものの、経営母体が変わるなどその道は決して平坦ではなかった。現在も、建物の半分は閉鎖中だ。最近は、インバウンドの影響で少し活性してきているという。ぜひ、長くドライバーのオアシスであってほしいものだ。

店舗名:オホーツクドライブイン

所在地:北海道北見市端野町緋牛内153-5

営業時間:9時~17時(要確認)

年中無休

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