
「オムニバス」に乗ったことがあるか? と言われても、ピンとこない人は多いのではないでしょうか。では少しヒントを出しましょう。
日常生活のなかではオムニバス作品、オムニバス映画などがありますが、これは映画・演劇・文学などで、いくつかの独立した短編を集め、全体としてひとつの作品となるように構成したものです。これが乗り物と大きく関係してくるのですが、まだまだ分かりにくいですね。 実はその正体は「バス」です。そう多くの人が乗ったことのあるメジャーな乗り物なので。つまり我々がバスと呼んでいるのは略した呼び名で、正式名称は「オムニバス」なのです。
もともとオムニバスはラテン語で「すべての人のための」という意味を持ちます。先ほどオムニバス映画やオムニバス作品は、いくつかの独立した作品を集めて構成された作品のことだと説明しましたが、バスには色々な人が乗るため、作品を集めるオムニバスの意味合いから派生して、乗合馬車や乗合自動車を「オムニバス」と呼ぶようになったのです。その後、「バス」と略されるようになったというのが名前の歴史です。

ただ、バスのネーミングについては諸説あります。
フランスの実業家スタニスラス・ボードリーが同国西部のナントという都市にて乗合馬車事業を始めた頃、その中心部のコメルス広場にはオムネ(OMNES)という帽子屋があり、OMNES Omnibus(オムニビュス)という看板を掲げていたのが由来という説もあります。この看板が馬車乗り場の目印だったことで、馬車もオムニビュスと呼ばれるようになり、それがオムニバス、そしてバスへと変化したというお話です。
ではもう少しバスについて触れておきましょう。
バスのなかでも大型の車両はエンジンが車体後部に設置されるのが主流となっています。このレイアウトが採用される理由はいくつかありますが、車内の快適性のためというのが理由のひとつです。
巨大なエンジンはそれだけ発熱量も多いのですが、後部にエンジンを配置することで熱が車内に入りこみにくくなります。さらに冷房効率が良く、騒音も響きにくいので、快適な車内をつくり上げることができるのです。
また、後方から追突された場合でも、エンジンが盾となって乗客への影響を軽減できることや、エンジンが後方に設置されることで、車内の空間やトランクを拡大することが可能になります。

では最後に、バスの種類についてです。よく「貸切バス」という言葉を聞きますが、これは運転手付きでレンタルできるバスのことです。料金さえ支払えば、利用者がたとえひとりであっても運行してもらえるのも特徴です。似たような種類に「借り上げバス」もありますがこれは「貸切バス」と同じ意味です。
「シャトルバス」は、空港や駅などから、特定の目的地までお客様を輸送するバスを意味します。間隔を詰めて短距離の輸送方法を「シャトル運行」と呼びます。
いかがだったでしょうか。普段何気なく乗っているバスですが、その名前が略語であったことや、その歴史、構造、種類を知ると、非常によくできた乗り物であることがわかるのではないでしょうか。
