意外に役立つ!? 車載用の扇風機は暑い夏の必需品

今では、カーエアコンの付いていないクルマを見かけることはほとんどない。近年の異常気象を考えれば、カーエアコンが装備されていない状況で、夏にクルマに乗ることなど考えられないだろう。ただ、セダンなどの乗用車ならまだしも、ミニバンクラスになると冷えがよくないなどといったことも。その理由は、室内空間が広いことに起因する。同様に、トラックもキャビン内の容積は決して小さくない。エアコンの効きがいまいち、などということもあるのだ。

そこで、にわかに注目され始めたグッズが扇風機だ。カーエアコンが珍しかった半世紀ほど前に流行ったものが、現代に復活したのである。その理由は、家電の扇風機の変化を見ればよくわかる。家電の扇風機はもともと地味に需要が続いていたのだが、売り上げが急激に伸びたのは羽なし扇風機の登場と、コロナ禍によるサーキュレーターの需要だろう。言い換えれば、技術の進化と新たな利用法である。もともと、扇風機は風を起こして涼をとる機械だ。これに対して、羽なし扇風機は小さい力で高い性能を発揮し、サーキュレーターは空気の循環を目的としている。

トラック用扇風機も、羽の枚数増加やモーターの改良によって省電力・ハイパワータイプが登場した。加えて、サーキュレーターのようにキャビン内の空気を循環させることで、エアコンの冷気をまんべんなくいきわたらせることができるのだ。さらに、トラックならではの事情がある。トラックは重い荷物を運ぶので、燃費はただでさえよくない。暑いからといってエアコンをガンガン効かせると、さらに燃費が12%程度低下するから、扇風機を効率的に使用すれば燃料の節約にもつながるのだ。

先にも触れたが、最近の車載用扇風機はハイパワーなので、ドライバーは強力な風を受けてかなり涼しく感じることができる。場合によっては、一時的にエアコンを切ることも可能だろう。よく、家電のエアコンではつけたり消したりすると、返って電気代がかかるといわれるが、車両のエアコンはコンプレッサーの動力をエンジンから得ているため、停止すればその分だけ確実に燃費が改善するのだ。

扇風機を選ぶ際に、気を付けなければならないのは対応電圧である。トラックは12V車と24V車があり、車載電装品はそれぞれに対応したものでなくてはならない。もし、24V車で12V対応の機器を使用する場合は、DC-DCコンバーターを使用して降圧する必要があるのだ。なかにはUSB電源のものもあり、この場合はUSBコンセントが必要になってくる。いずれも消費電力は大きくないので、停車中に使用してもよほどのことがない限りバッテリー上がりの心配はない。しかし、搭載する電装品が多いような場合には、充電式や乾電池式のものを選ぶとよいだろう。

キャビン内にまんべんなく風をいきわたらせるためには、首振り機能がついていると便利だ。小型のファンがふたつついているツインタイプなら、首を振らなくても2方向に風を送ることができる。取り付けはクリップで挟むだけのものが多く、キャビン内のグリップ・バイザー・ヘッドレストなどに設置するのが一般的だ。燃料高騰と猛暑を乗り切るために、扇風機を活用するのもひとつの対処法だといえよう。

ページトップに戻る