
ゴミをポンポンと投げ入れる光景を見ることも多いゴミ収集車。しかしゴミ収集車の後部がどのような仕組みになっているかはあまり知られていない部分だろう。そこで今回はゴミ収集車の仕組みと種類を説明していくが、その前に少し予備知識を紹介しておこう。
ゴミ収集車という呼び方は通称であり、正式名称は塵芥車(じんかいしゃ)だ。このほかにもパッカー車という呼び方もあるが、すべて同じ車両のことだ。
このゴミ収集車だが、ごみ収集の歴史は長く、戦後の高度経済成長とともに都市部でのごみ排出量が急増し、効率的な収集・運搬の必要性から専用車両の開発が進められたのだ。そして1960年代以降、各自治体でゴミ収集車の導入が拡大し、今日ではさまざまな種類の収集車が活躍するというのが簡単な歴史となる。
ではそのゴミ収集車の機構にはいくつかの種類があるので説明してこう。
一般的なゴミ収集車は車両後部にごみ投入用の開口部があり、内部の圧縮装置でごみを押し固めて積載効率を向上させている。


この仕組みだが、ゴミは後部の開口部から投入されたあと、車内に設けられた圧縮板やスクリューによって押し固められる。そしてゴミの排出時には、圧縮板が逆方向に動き、ごみを押し出す仕組みとなっている。
そして一連の工程でゴミを積み込むときと、積載されたごみを排出するときで以下のような種類がある。それが「圧縮板式(プレス式)」「回転板式(巻き込み式)」「荷台回転式(ロータリー式)」の3種類だ。
圧縮板式(プレス式)
投入口に入れたゴミを圧縮板と呼ばれる板で細かく粉砕し、小さく圧縮してから荷箱に送る方式で、積載効率が高く、一度に多くのごみを運搬できる。この方式は一般的な家庭ごみ収集車にも多く使われている種類だ。
回転板式(巻き込み式)
投入口に備えられた回転する板で、ゴミを圧縮しながら荷箱に押し込んでいく方式。回転板が連続的にゴミを押し込むため、ゴミ収集を効率よく行える。ただし、圧縮板式と比べると圧縮力は弱く、ゴミを粉砕するほどの力はないため、木くず、繊維くずの回収に向いている。
荷箱回転式(ロータリー式)
投入口に備えられた大きな円柱型ドラムが回転し、ゴミを荷箱に送る方式。ドラムが回転し続けているため、続けてゴミを投入することが可能。
次に排出方法の違いを説明しよう。ゴミ収集車が集めたゴミは、ゴミ処理施設などで荷台から降ろすことになるが、排出方法は以下の2種類に分けることができる。
そのひとつめが押し出し式だ。
押し出し式は、荷箱の奥に排出板が設置されており、排出板がごみを荷台後方に押し出して排出する仕組みとなっている。奥から排出板で強制的に押し出すため、排出力が高いのが特徴だ。
そしてふたつ目がダンプ式と呼ばれる方式で、荷台を傾けることでごみを排出する。ゴミは自然落下で排出されるためシンプルな仕組みだが、細かいゴミが残ることもある。木くずなどを収集する、回転式のパッカー車に採用されることが多い。
なかなかゴミ収集車の中身を見る機会はないが、実は教育・教材用デモンストレーション用として中身の見えるスケルトンパッカー車というものも存在する。内部がLEDライトで明るくなるので内部構造がわかりやすくなっている。
あくまでもデモンストレーション用だが、実際に見てみたいと思う人は多いはずだ。

画像:極東神奈川エンジニア株式会社
