
コロナ禍の折、ソーシャルディスタンスを守りながら楽しめるレジャーとして、キャンプブームが巻き起こった。様々なキャンプ用品が店頭を飾り、ファミリーだけでなくおひとり様で楽しむ、「ぼっちキャンプ」「ソロキャンプ」などという言葉も生まれた。こういった流れを受けて、キャンピングカーにも注目が集まるようになってきたのだ。

ひとくちにキャンピングカーといっても、実に様々なタイプが存在する。よく見かけるのは、ワンボックス車をベースに改造をした「バンコンバージョン」と呼ばれるものだ。既存の2列目・3列目のシートを撤去して、ベッド(走行時にはシートに変換できる)やテーブル・冷蔵庫・トイレ・キッチンなどを装備する。ベース車両のシャシーや外側はあまり大きく変更せずに、内装を中心に改造しているものが多い。マイクロバスをベースにしたタイプ(バスコンバージョン)にも、同様のものがある。

他の車両に牽引してもらうタイプは外国の映画・ドラマでよく見かけるが、「トラベルトレーラー」(またはキャンピングトレーラー/トレーラーハウス)と呼ばれているものだ。牽引する側の車両には、牽引装置が付いていてトレーラーを引くパワーがあれば特に制限がない。一般には、4WDやSUVタイプの車両が多いようだ。トレーラーを牽引するので本来なら牽引免許が必要になるが、被牽引車の車両総重量が750㎏以下であれば牽引する車両に対応した免許だけでよい。キャンプに行くときだけ繋げればよいので、いつもはクルマ(牽引車)を普通に使えるというメリットがある。

キャンピングカーが勢揃いする「キャンピングカーショー」などで最も人気が高いのは、小型トラックをベースに改造したタイプなのだそうだ。トヨタ「ダイナ」やいすゞ「エルフ」といった小型トラックに架装したもので、「キャブコンバージョン」と呼ばれている。架装部分はトラベルトレーラー並みの装備を持っているため、かなり充実したキャンプを楽しむことができるのだ。
このようなブームを受けて、ベースになる車両に専用のものも製造されている。トヨタ「カムロード」やいすゞ「ビーカム」で、それぞれ「ダイナ」「エルフ」をベースとしたものだ。キャンピングカーの架装はトラックの荷室より重量があるため、出力や走行性能を向上させることで、スムーズな走りができるように改良されているのである。そのためにカーキャンパーの間でも評判が高く、これらの車両をベースにしたキャンピングカーは引っ張りだこなのだそうだ。
ブームとはいえ、キャンピングカーの絶対的な車両数は決して多いものではなく、さらに様々な装備を搭載するために決して安い買い物にはならない。おひとり様やカップルで手軽に楽しむには、少しハードルが高いともいえる。そこで、レンタルを選択する方法もあるが、もうひとつの方法として人気なのがスズキ「キャリイ」やダイハツ「ハイゼット」など軽トラックをベースとしたキャブコンバージョン、いわゆる「軽キャンピングカー」(軽キャン)だ。

軽キャンは小型トラックベースのキャブコンバージョンと同様、ベース車にキャンパー部分を架装した車両で、なかには写真の車両のようにルーフをポップアップ化することで居住空間を広げたモデルも多くリリースされている。またエブリイやアトレー、ハイゼットカーゴなど軽バンをベースとしたバンコーバージョンの軽キャンもソロやカップルでキャンプや旅を楽しむユーザーに大人気だ。
また軽キャンには、「軽トラ+積載シェル」方式のキャンピングカーも多く製造販売されている。軽トラの荷台に「積み荷」として居住スペースであるシェルを載せるというタイプの車両だ。これなら、車両改造やそれに伴う申請などの手間がかからない。積載重量と固定方法に注意すれば、手軽にキャンプを楽しむことができるのだ。ちなみにこの積載シェルタイプのキャンパーは、軽トラだけでなくピックアップトラックをベースとした車両も各地のビルダーからリリースされている。
このように、キャンピングカーのブームは留まるところを知らない勢いである。今後、さらに進化した車両が出てくることに期待が膨らむ。