建機メーカーが運営する、子供も楽しめる「こまつの杜」

北陸新幹線と、IRいしかわ鉄道(旧・JR北陸本線)が通る小松駅の東口。石川県小松市の中心地ともいえるこの場所は、建設機械メーカー小松製作所の創業の地にあたる。この場所に、地元では有名な「こまつの杜」があるのだ。ここは、いわゆる企業博物館である。同社の歴史を紹介したパネルや、歴代の建設機械などが展示されているのだ。

目玉となるのは、広場に展示されているダンプトラックの「930E」と、超大型油圧ショベル「PC4000」であろう。3階建てのビルにも匹敵する大きさを持つこの2台は、当然のことながら公道を走ることはできないので、一般の人が街中で見かけることはまずないといってよい。閉鎖されたダムや空港などの大規模な工事現場で、活躍をする建設車両なのだ。下から見上げるだけではなく、階段で操縦席のすぐ近くまで行くこともできる(運転席内に乗り込めるイベントもある)。

子供連れに人気なのは、「ワクワクこまつキッズ館」だ。この施設は、3つのエリアに分かれている。まずひとつ目は、模型などを触ったり動かしたりして、建設機械の仕組みを学べる「原理体験エリア」。ふたつ目の「休息エリア」を挟み、3つ目がブルドーザーの模型に乗って写真が撮れる「キッズエリア」。子供用の作業服やヘルメットも用意されているので、建機オペレーターになりきって楽しむことができるのだ。

「ワクワクこまつ未来館」も同様に子供連れには外せない場所だ。ここには電動ミニショベル「PC09」の実車があり、子供たちが操縦席に乗り込んで操作体験をすることができる。本物のショベルを動かして、プールのなかのボールをすくい上げるなどという経験は、そうそうどこででもできるものではない。ここで得た体験が、将来のオペレータを生み出すようになるかもしれない。まさに、「未来館」の名にふさわしいアトラクションだ。

もちろん、大人が十分に楽しめるエリアもある。それが、「ワクワクこまつ歴史館」と屋外展示だ。「歴史館」はその名のとおり、小松製作所の歴史を時系列で紹介しているところである。展示物のなかには旧い小型建機の実物があり、それはマニア垂涎の貴重な1台と言われている。「歴史館」の建物は、旧い学校の校舎を思わせるような木造の2階建て。これは同社の旧本社を復元したもので、世代によっては懐かしさを感じるような深い味わいを持っている。屋外展示では歴代の建設機械がずらりと並んでおり、それぞれ特徴などが詳しく解説してあって興味をそそる。

おもしろいのは、ごついイメージの建設機械とは異なる「いきもの観察館」と、「げんき里山」という自然がテーマになったエリアがあることだ。このエリアは自然がテーマになっており、生き物の観察や散策を楽しめる場所だ。里山には田畑・小川・東屋などがあるから、都会の喧騒を忘れてゆっくりとした時間を過ごせるオアシスのような場所だ。1人でふらりと寄っても家族や友人たちと訪れても、十分楽しめる充実した施設なのに入場は無料。北陸方面に行く際には、ぜひ立ち寄りたいスポットである。

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