赤帽ってよく聞くけど、その正体は何だ?

最初に答えを言ってしまうと赤帽(あかぼう)は日本全国で展開されている軽貨物運送サービスの通称であり、日本の軽貨物運送サービスのパイオニアだ。正式には「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」という名前で個人事業主が加盟しながら小回りの利く軽トラックで荷物を運ぶシステムが特徴だ。今でこそ軽自動車を使った配達は一般に浸透したが、赤帽の歴史は1975年の発足まで遡ることができる。

この赤帽という独特のネーミングは「赤い帽子」の略だ。ではなぜ赤い帽子が名前になっているのかというと、そのルーツは鉄道にあった。

かつて、全国の鉄道の主要駅の構内で乗客の持ち込み手荷物を有償で運ぶ「手荷物運搬人」という職員がいて、彼らは目印として、赤い帽子を被っていた。これが「赤帽」と呼ばれていた。そして乗客はみなこの赤帽さんの働きぶりに感動した、そして赤帽の初代会長が、赤帽発足の際、この名前を使用したというわけだ。

赤帽が発足した1975年当時は貨物運送の担い手が不足していた時代。その背景を受け、個人事業主による柔軟な配送を可能にする仕組みとして誕生したのだ。

ここまでで赤帽の歴史はご理解いただけたかと思うが、じつは赤帽を語る上で外せない話題がある。それが「赤帽仕様のサンバー」というクルマだ。

サンバーは「農道のポルシェ」とも呼ばれたスバルの軽トラックだ。そして赤帽仕様のサンバーは、丈夫で使い勝手のいい軽トラックが欲しいという組合員のリクエストから誕生した特別なモデルなのだ。

赤帽仕様のサンバーは業務のことを考えて、疲れにくい専用シートや光量が多いルームランプ、高速道路での走行を考慮した形のバンパーなど、随所に専用車らしい設計がなされていた。

なかでも注目したいのはエンジンで、赤帽専用サンバーには赤いヘッドカバーの専用エンジンが搭載されていたのだ。さらに配送という仕事の特性上、走行距離が延びるため20万kmまではオーバーホールしないでも済むように設計されているのだから、そのスペシャル度合いはかなり高いものだった。

ここまで赤帽仕様サンバーのことはすべて過去形で記述したが、これはスバル製のサンバーは2012年2月で生産を終えたのが理由だ。その後、赤帽サンバーは7代目のダイハツOEMのハイゼットベースの赤帽仕様にバトンタッチしている。

しかし、赤帽の公式ホームページトップで、いまもなお伝説の赤帽サンバーの姿をみることができるのは嬉しい限りだ。

なお、赤帽の車両については公式ホームページで歴史とともに詳しく解説されているので、ぜひ覗いてみてほしい。

赤帽車ストーリー

https://www.akabou.or.jp/cars

赤帽の公式ホームページ

https://www.akabou.or.jp
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