簡易タンクローリー? 軽トラ用ウォーターキャリアって何だ?

地震や集中豪雨といった自然災害が発生したとき、被災者の生活を維持する重要な物資のひとつが「水」である。これを運んでくれるのがタンクローリーだが、いつでもどこにでもあるような車両ではないから、調達することにまず時間がかかってしまうことも少なくない。多くの場合、非常の際には自治体や自衛隊が用意するようだが、被災地が広範囲に渡ればそれらのすべてをカバーすることが、難しいといった状況も考えられる。一刻一秒を争う状況下では、こういったタイムラグが命取りにもなりかねないのだ。

そこで、防災対策として推奨されていることのひとつが「水」の備蓄だ。これは一般に飲料水を対象にしているために、ペットボトルなどに入って長期間保存できるものがよいとされている。しかし、それはあくまで必要最低限のものだ。被災者のストレスを少しでも下げるためには、トイレを流したり洗濯や洗い物をしたりする際の生活用水も、大量に調達できるようにしておかなければならないといえよう。

これらの水は飲むわけではないので、池や川などの水でもある程度は代用が利く。とはいえ、手持ちバケツでいちいち汲んでいては大変であるし、そもそも避難場所とそれらの水源が離れていたら運ぶこともままならない。こういったときに便利なのが、「ウォーターキャリア」と呼ばれる簡易型の貯水タンクだ。

タンクの素材には、ポリエステルを軟質合成樹脂フィルムで包んだターポリンと呼ばれる布を使用。これはテント・荷台シートといった、屋外の過酷な条件下で使用される製品の素材になるもので、高い耐久性を持つ。本来、貯水タンクといえば高密度ポリエチレンでできたハードタイプのものを想像するが、「ウォーターキャリア」は布タイプなので、使用しないときには小さく折りたたんで保管ができる。まさに、非常用として最適なのだ。

この「ウォーターキャリア」には軽トラックの荷台の大きさに合わせて、ピッタリと収まるタイプのものがある。これを使えば、タンクローリーがなくても軽トラックにセットをするだけで、簡易の移動式貯水タンクとして使用できるようになるのだ。タンクから水を供給する際には付属のポンプを使用するが、これは川や池などから水を汲み上げるときにも使うので、そういった作業に多くの人手を割かなくて済む。

ポンプの電源はDC12Vだから、軽トラックのシガーソケットから供給が可能。また、駐車位置から水源まで少々高さや距離があっても、5mの電源コードと10mのホースが用意されているのである程度は対応ができる。このほかにも、口径の違うホースをつなぐコネクターやホースバンドが付属しているので、様々な場所や状況下でも使うことができるのだ。

タンク本体はゴムバンドで固定する構造になっているため、輸送中に起きる液体特有の揺れは少ない。また、タンク上部の開口部には水漏れしない高性能止水タイプのファスナーを採用。ここを開けば、タンクのなかを簡単に掃除することができるのだ。このように高い汎用性・利便性を持つことから、「ウォーターキャリア」は防災グッズとして注目を集めているのである。

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