
高速道路のサービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)は近代化のリニューアル工事が進み、休憩設備や飲食はもちろん、ショッピングに至るまで充実した設備が整い、街のショッピングモールのようなスポットに発展している。一方、全国各地の国道やバイパス沿いなどの「街道筋」にて、高速道路網が発達する以前から営業し続けている「ドライブイン」は、減少しているという。
とはいえ、昭和の昔から建物も変わらず続いているドライブインは、旧くから街道筋を「ベタ」(一般道を走ること)で走り続けているトラックドライバーたちの支持を受け続けていると同時に、近年のレトロブームも相まって一般の観光客やファミリー層にも人気が高まっている。
東北自動車道二本松ICを降り、国道4号線の二本松バイパスを上り方面に進んですぐのところにある「二本松バイパスドライブイン」は、そんな昭和レトロの薫り漂うドライブインのひとつ。1972年(昭和47年)創業、50年以上の歴史を持ち、かつては映画『トラック野郎』の舞台にもなり、その当時放送されていたTBSのラジオ番組「いすゞ歌うヘッドライト〜コックピットのあなたへ」ではラジオ局から全国のドライブインに電話をかけ、ドライバーに現地の天気や道路情報を聞くコーナーのレギュラーになっていた。いわばトラッカーたちの「聖地」のようなお店だ。


創業当初からトラックドライバーたちのために24時間営業を続ける同店。ドアを開けると正面と左手には広々としたテーブル席が並び、右手には30畳ほどの座敷が設けられている。座敷とテーブル席を合わせればおよそ100人は入れるほどの広さだ。また店舗の奥にはゲームコーナーも設けられ、さらにサウナ完備の浴場も設置されている。昼夜問わず走り続けるトラックドライバーにとっては、まさに憩いの場というわけだ。



そんなドライバーたちを主な客層としていることもあり、提供される料理も実にガッツリ! ボリュームたっぷりのメニューを多数用意し、かつ値段もお手頃なのだ。人気ナンバー1は写真の「バイパススタミナ定食」。オープン当時から続いているメニューで、常連客のなかには「週に2・3回は食べる」という人もいるという。ホルモンと豚肉と野菜を甘辛いタレで炒めたそのメインディッシュはまさにスタミナ満点! ご飯も進むこと請け合いだ。

取材同行者がオーダーした塩ラーメン&カレーセットも繰り返しになるが実にガッツリ!! カレーだけでお腹いっぱいになりそうだ。

2024年4月にはNHKの「ドキュメント72時間」に「国道4号線 ドライブインは眠らない」というテーマで登場。それ以来、常連のトラックドライバーや地元客はもちろん、各地から訪れる観光客やツーリングライダーたちからもさらに注目を集めている。
二本松バイパスドライブイン
福島県二本松市杉田駄子内48
tel.0243-23-3519
営業時間:24時間(日曜日深夜12時〜月曜日午前6時までは休業)