物流は地上だけじゃなくて海にもあるんだ 内航船のおはなし

本サイトではトラック関連の話題を中心に様々なニュースやコラムをお届けしているが、今回は少し趣向を変えて、船にまつわる物流のお話をしようと思う。物流というキーワードで思い浮かぶのはやはりトラックや物流センターということになるが、それ以外にも荷物を運ぶ手段として船があるのだ。そこで今回は陸上の乗り物ではなく、海上で活躍する船に注目してみた。

海上で貨物を運搬する船のなかに「内航船」と呼ばれるものがある。これは日本国内の港湾間で貨物や旅客を運搬する船舶のことで、国内のみを航行するため、「内航」と呼ばれている。運航区域は法律により定められており、通常は外国の港を発着点としない船が内航船ということになる。

内航船には、貨物専用船(バルクキャリア、タンカー、RO-RO船、コンテナ船など)や旅客フェリーなど様々な種類があるが、物流の観点から見れば貨物専用船が主役ということになる。

この内航船だが、日本の物流の約40%を担っているといわれ、鉄道やトラックなどの陸上輸送と並んで、国内物流の柱となっているのだが、これはあまり知られていない事実と言える。

日本は本州・北海道・四国・九州と複数の主要島から構成されており、道路や鉄道だけではカバーできない膨大な量の貨物が内航船によって運ばれている。特に、石油や石炭、化学製品、セメント、鋼材、穀物など大量輸送が必要な資材や、長距離移動が求められる貨物では、内航船の効率性が高いのだ。

この内航船による輸送方法は、一度に大量の貨物を運べるため、トラックよりも効率的であることや、CO₂排出量が他の輸送手段より低い、地震や台風などで道路・鉄道が寸断されても、海上輸送は比較的安定して稼働可能というメリットがある。さらに、トラック輸送に比べて燃費が良く、長距離輸送に適していることや、近年のトラックドライバー不足問題を補える、など船舶ならではの強みも多くある。

トラックは一般的に見かけることが多いが、内航船は見る機会が少ないため、物流における重要性や割合がわかりにくいが、その実態は非常に重要な輸送手段であることは間違いない。

では最後に内航船の種類を紹介しておこう。

バルクキャリア

鉄鉱石や石炭、穀物など同一種類の大量貨物を運ぶ船。専用の設備で荷役を効率化している。

タンカー

原油、石油製品、化学薬品、LPGなど液体貨物を運ぶ船。気密性や安全性が重視される。

RO-RO(ロールオン・ロールオフ)船

トラックやトレーラーごと貨物を積み込めるため、発着港での積み下ろしが短時間で済み、陸送との連携が容易にできる。

コンテナ船

コンテナ船は貨物船の一種で、スケジュールに基づき、決まった港を定期的に行き来する定期船に当たる。ISO(国際標準化機構)で世界的に規格化された箱・容器(コンテナ)に貨物を入れて輸送する形態の船で、現在の定期船の多くはコンテナ船となる。

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