
一般的にサスペンションといえばタイヤとフレームの間に設置されるパーツのことを指すのですが、トラックにはそれ以外にもキャブサスペンションと呼ばれるものが装着されています。
このキャブサスペンションとはトラックのキャブ(運転席部分)とフレームの間にあるパーツで、これによりドライバーが快適に運転することができるのです。これがキャブに搭載されているため「キャブサスペンション」といいます。
一方でトラックのフレームとタイヤの間にも、乗り心地をよくするための仕組みとしてのサスペンションがありますが、こちらは重い荷物を支える役目があるため、あまり柔らかくはできません。乗り心地はよくしたいけど、あまりサスペンションを柔らかくしてしまうと安定性に欠ける、そこで、運転席部の乗り心地向上に役立つのキャブサスペンションというわけです。
キャブサスペンションはキャブの四隅に装着され、クッションのように振動を吸収して、乗り心地を快適にする役割があります。キャブサスペンションがあることで、ドライバーが長時間運転しても疲れにくく、かつ、積荷への衝撃が軽減されるよう考慮されています。

画像出典:いすゞタウン
このキャブサスペンションですが、ドライバーの快適性を向上させるのはもちろんですが、キャブサスペンションが振動や衝撃を効果的に吸収することで、ドライバーは安定した運転環境を維持できる効果もあります。そして事故リスクの低減にもつながるのです。
キャブサスペンションには構造別に、ラバースプリング、コイルスプリング、エアスプリングの3つのタイプがあるので、それぞれの特徴を解説していきましょう。
ラバースプリングは耐久性とコスト効率のバランスが優れており、小型から中型トラックに広く採用されています。比較的安価なラバースプリングなので、メンテナンスコストも低くなります。
コイルスプリングは高い安定性を持ち、中型から大型トラックに適しています。価格帯はラバースプリングよりもやや高めのことが多いものの、悪路や不整地において耐久性と快適性を持ち合わせているのが特徴です、

最後はエアスプリングです。エアサスとも呼ばれるエアスプリングは大型トラックや特殊車両での使用に最適で、荷物の重さに応じて空気圧を調整できるため、どんな荷重条件下でも最適な乗り心地と安定性を発揮してくれます。
このように快適性を保つキャブサスペンションですが、定期的なメンテナンスは必要です。ある程度距離を走行したらダンパーやスプリングの劣化や摩耗を定期的にチェックし、必要に応じて交換や調整を行うことで本来の性能を維持することができるのです。逆にメンテナンスをしないまま乗り続けると乗り心地や安定性の低下につながってしまいます。

外からは見えないキャブサスペンションですが、実際のトラックを運転するドライバーにとっては非常に重要なパーツといえるのです。