
近年では、車載用ナビゲーションだけではなく、スマートフォンのナビゲーションアプリが普及しており、地理不案内な地域でも道に迷うことはほとんどない。しかし、カーナビやスマホを運転中に注視するのは、れっきとした交通違反になる。やはり、道路に設置されている案内標識や電光板は、ドライバーにとって必要不可欠な設備だといえよう。
一般道路の案内標識はそのほとんどが青地に白文字で書かれているのに対し、高速道路は緑地に白文字が基本になっている。これは、国土交通省の省令(標識令)によって定められているのだ。これらの色が採用されているのは、ひとえにドライバーが運転中に視認しやすいというのが理由である。特に、高速道路では相応の速度が出ているから標識の視認性は重要で、文字の大きさなども計算しつくされているのだ。

高速道路の案内標識の多くは、ジャンクション・インターチェンジ・サービスエリア(SA)やパーキングエリア(PA)などの存在や、分岐後の行き先などを知らせている。それぞれ、概ね2㎞・1㎞・500m手前に設置されていることが多い。ドライバーはこれらの情報を把握することで、早い段階から安全に車線の変更などを行なうことができるのだ。

高速道路では車両が速いスピードで走っているために、遠くから標識を視認できなければ情報をすべて伝えることができない。そこで、大きな文字で簡潔に書かれているのだが、同時に記号やイラストなども採用されている。例えば、給油タンクの計量機が描かれていれば、ガソリンスタンドがあることを示している。ナイフとフォークはレストランで、コーヒーカップは軽食設備を現している。
同様に「i」と書かれていることがあるのだが、この記号をわかる人は意外に少ないのだそうだ。これは、「Information」の頭文字。すなわち、道路交通情報などを提供する情報ターミナルのこと。SAなどに併設されており、そこから先の渋滞・事故・工事・落下物・故障車・通行止めなどといった情報や所要時間を、リアルタイムで案内する機能を持っている。

電光板は表示内容をモニターのように変化させることができるため、より多くの情報をリアルタイムで示すことができる。その特性を利用して、渋滞なら区間や通過時間などを表示する。その際、表示の後ろに三角マークが付いていることがある。このマークには「赤」と「緑」が存在し、それぞれ意味があるのだ。「赤」はこれから渋滞が伸びるという予測がされているときに使用され、「緑」はその逆を表す。
このように、案内標識や電光板はドライバーにとって便利であるだけではなく、安全・快適な車両運行に欠かせない設備だといえる。将来的には道路ではなく、車両のモニターなどに表示されるようになるといわれている。すでに、ETC2.0では道路交通情報の音声案内が行なわれており、カーナビもモニターに案内標識を表示するものが増えた。さらに、自動運転が導入されれば、車両が標識を直接認識するようになるのだろう。案内標識・電光板も、日々進化しているのである。
