
物流シーンや工事現場で操作する乗り物は数多くあるが、どの免許があると何に乗れるのか? また免許があってもできることとできないことがある。しかしこの部分を詳しく知っているのは実際に現場で働く人たちかよほど興味がある人で、一般的にその区別はあまり知られていない。
もっともポピュラーなところでいうと、普通免許では大型トレーラーには乗れないが、普通免許に付随してくる条件によっては4トントラックも運転できるといった具合だ。
では、実際に所持免許と重機の例を挙げてみよう。
例えばバックホー(ショベルカー)で公道を走るために必要な免許だが、これは自動車と同じで、運転する自動車の車両総重量と最大積載量で分けられている。
車両総重量、最大積載量の順番で説明すると
普通免許であれば3.5トン未満・2.0トン未満。
準中型免許であれば7.5トン未満・4.5トン未満
中型免許であれば11.0トン未満・6.5トン未満
大型免許であれば11.0トン以上・6.5トン以上
というのが条件だ。
要するに車両の重さによって対応する免許があればトラック同様にショベルカーも運転できるということだ。

しかしバックホーの運転については重要な注意点がある。それは、ホイール式のタイヤを装着したバックホーでなければ公道は走れないということ。クローラー式(キャタピラ)のバックホーを移動させるなら重機回送用のトラックの荷台に乗せて輸送するしかない。
これはキャタピラでの走行は免許の有無にかかわらず禁止されているからだ。
では走行ではなくバックホーの操作はどうだろうか。
バックホーにも大きさがあり、3トンを境に、それぞれ下記の操縦資格が必要となる。
・重量が3トン未満のバックホー:小型車両系建設機械の運転に係る特別講習を受ける。
・重量が3トン以上のバックホー:車両系建設機械運転技能講習を修了し、試験に合格する
どちらも一般の教習所でなく、メーカーが持っている専用の教習所で講習を受けるのだが、受講条件は年齢制限のみで、どちらの資格も満18歳以上で取得できる。つまり運転免許が運転するバックホーの重さに対応していたとしても、操作するには別の資格が必要となる。ということだ。
では港湾で使用される巨大なフォークリフトはどうだろうか。
基本的にはフォークリフト運転技能講習修了証を持っていれば最大積載荷重にかかわらずフォークリフト運転の業務に従事することができる。これでフォークリフトを操作することができる。
しかしフォークリフトで公道を走行する場合は、別途自動車運転免許が必要なのだ。さらにフォークリフトは、車両の寸法や排気量によって「小型特殊自動車」「新小型特殊自動車」「大型特殊自動車」に分類され、公道を走行する場合には大型免許・中型免許・普通免許・大型特殊・大型自動二輪・普通自動二輪・小型特殊のいずれかが必要となる。

つまり自動車免許を所持していないが、フォークリフト運転技能講習修了証を所持しているならフォークリフトで荷役作業はできるものの、運転して公道を走行することができない。逆に自動車免許は持っているが、フォークリフト運転技能講習修了証がない場合、荷役作業はできないが、公道の移動だけならOKということだ。
このように乗れる免許と操作できる免許が違うことが多いため、物流業界で働く場合は複数の免許を所持している人材がより幅広く活躍できるのは確かなのだ。
