
トラックは道路を通行する際に様々なルールがあり、そのルールのひとつとして高さによる制限が設けられている。このルールは道路交通法をもとに作られており、高さ制限を守らないと事故の原因になるほか、法律違反になってしまう。
そこで今回は高さ制限について話を進めていこう。
トラックの高さ制限に関しては、これまで「原則3.8m以下」と規定されていたが、2004年の法改正(道路交通法第22条)により、「高さ指定道路」に限り4.1mまで規制が緩和されたという点が大きなポイントだ。

高さ指定道路とは、危険防止や構造保全の面での支障がないと認められ国が指定した道路のことで、さらに、「制限外積再許可」の手続きを取り認可されれば4.3mまでの荷物を運ぶことができるのだ。
ではなぜ道路通行時にトラックに高さ制限が設けられるのだろうか? その答えは事故防止のためだ。
トラックは様々な物を運搬しており、その種類は食品、物流関係荷物、重機、引っ越し荷物、冷凍食品、家畜、競走馬、ガソリンなどの液体、小麦などの粉粒体、テトラポッドなどの構造物、木材などの建築材料など非常に多岐に渡る。そして日夜、止まることなく日本全国で数多くのトラックが運行しているのは知ってのとおりだろう。
そして、これらのトラックが走る場所は、高速道路のときもあれば住宅街のこともある。特に高速道路以外の場合は、道路の周りには家屋やビル、学校などの公共の建物、それに電柱や電線、歩道橋、トンネル、高架橋、などの建造物が無数に存在している。これらの建造物がある場所はトラックが通っても余裕のある所ばかりではなく大きなトラックがぎりぎりで通過している光景を見たことあるかもしれない。
そして建造物に荷物や車体が接触する事故を防ぐ意味でも高さ制限は守るべきルールと言えるのだ。
ではこの高さ制限を超えてしまうトラックの場合、荷物はどう運ぶのだろうか? それは「制限外積載許可」の手続きを行うことで高さ制限以上の荷物を積んで通行が可能となる。許可がない場合は高さの上限が4.1メートルだったが、制限外積載許可の手続きを取れば、高さ4.3mまでの積載が可能になるのだ。この制限外積載許可とは、高さや幅、長さなどに関する規定を超える荷物を運ぶ際に取らなくてはならない許可のことで、出発する地域を管轄している警察署で手続きを行うことができる。
そして制限外積載許可を取れば、以下の範囲までの荷物を積むことができるようになる。
長さは自動車の1.5倍の長さまで、幅は自動車+1m(全体で3.5m以内)高さ:4.3mだ。
しかしいくら許可を取ったとしても制限外積載許可で認められる範囲が積載できる荷物の大きさの上限となっているので、この基準値を超える荷物に関してはどのような手続きを取ったとしても積載することはできないこともポイントだ。

一般の乗用車ドライバーにはあまり縁がないかもしれないが、制限外積載許可の申請に必要な書類を紹介しておこう。
制限外積載許可を取得するために必要な書類は
・制限外積載許可申請書(インターネットからダウンロード可能)
・車検証コピー
・特殊車両通行許可証
・積載方法の概略図
・経路図
・申請者の免許証コピー
・道路管理者の通行許可証
の7種類を用意する必要がある。また申請から許可証の発行はすぐに行われるわけではなく、一週間ほどかかることもあるため、事前の準備期間が必要なのだ。また、手続き方法も都道府県ごとに異なる場合もあるので、事前に確認しておくのが望ましい。
最後に高さ制限やはみ出し制限に違反した場合100万円以下の罰金、免許証の加点が課せられることになる。さらに車両の通行が禁止または制限されている道を通行するなど、許可条件を違反した場合は、6ヶ月以下の懲役、または30万円以下の罰金が科せられるケースもある。

