突入防止装置ってどこに付いているの?

トラックの後部にはどんなパーツが付いているかという質問に即座に答えられるだろうか? もちろん画像や実物を見れば何が付いているかはわかるだろうが、その前にちょっとトラックの後部を思い浮かべてみて欲しい。例えばバンタイプのトラックの場合、リアセクションには荷物の出し入れをするたけのドアやパワーゲートがあるはずだし、ダンプや平ボディならアオリがある。

しかし、こうした装備以外にも安全面で重要なパーツがあるのだ。それが突入防止装置。

これは車両の前側と後側に設定されている横棒タイプの装置で、前側をFUPD(Front Under-run Protection Device)、後側をRUPD(Rear Under-run Protection Device)と呼ばれている。

その役目は、相手のクルマの乗員、特に乗用車の乗員の安全をできるだけ守ることなのだが、具体的に役割を説明していこう。

背の高いトラックと、背の低い乗用車がぶつかった場合、乗用車はトラックの下の方にもぐりこんでしまう形になってしまうことが多い。

そうすると、乗用車のキャビンは大きく壊れ、乗員が大けがをする可能性が高くなる。場合によっては人命にかかわる事故になることも珍しくない。そこで活躍するのが車両突入防止装置であり、万一の事故のときにも、乗用車がトラックの下部にもぐりこまないようになっているのだ。

実際の車両突入防止装置を見るとわかるのだが、形は非常にシンプル。しかし単純な形であっても様々な工夫が詰め込まれている。

このパーツ本来の目的は乗用車がトラックの下部にもぐりこむような状態を防ぐ壁となることなので、強度が必要になってくる。そのため、使用される素材は鉄かアルミとなっている。また突入防止装置自体の形を「コの字」を向かい合わせた形状にして強度を確保しているのだ。

さらに乗用車がトラック後部にもぐりこむのを止めるため、「低い位置」に取付けられており、乗用車を受け止めるために、上下の幅も広く取れるように設計されている。

通常、突入防止装置の両端はカバーで覆われているが、これは接触があったとき、相手の乗員の安全を守るほか、歩行者などが鋭利な側面でケガをしないようにするためだ。

このように事故車両の乗員や歩行者の安全を考えて装着される突入防止装置は、貨物車両と乗用車を対象に、構造上潜り込みの可能性がある自動車に、国土交通省によって車両突入防止装置の取り付け義務が定められている。

また車両総重量に対して下縁の決められた高さを超えてしまっている場合は、トラックだけではなく乗用車も車両突入防止装置を取り付けなくてはならないという決まりもある。

突入防止装置の具体的な装着義務は以下のとおりだ。

車両総重量7トン以上

空車状態での車両後方の下縁の高さが550mmより高い場合、両後輪タイヤの外側からみて10cm以内の長さ&縦幅が10cm以上となるような突入防止装置の取り付けが必要。

車両総重量3.5~7トン未満

空車状態での車両後方の下縁の高さが600mmより高い場合、車幅の60%以上の長さ&縦幅が10cm以上となるような突入防止装置の取り付けが必要。

車両総重量3.5トン未満

空車状態での車両後方の下縁の高さが700mmより高い場合、車幅の60%以上の長さで、かつ形状が突入を防止できるような突入防止装置の取り付けが必要。

気にしなければ見過ごしてしまうパーツではあるが、装着されたトラックは数多く走っているので、ぜひ機会があれば確認してみて欲しい。その強固さと重要性が見て取れるはずだ。

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