
あるサイトを覗いているとこんな記述が目についた。
「中央分離帯が左側にある、道路標識の裏側が見えている、その場合は逆走の疑いがあります。逆走に気づいた時は対向車に注意して速やかに路肩などに停車して安全な場所に避難してください」。
これは逆走に関する注意喚起の一文なのだが、ここで「道路標識の裏側」というキーワードが気になった。標識の裏側には何か工夫があるに違いないと思ったからだ。そこで今回は普段はほとんど気にしないであろう、標識の裏側についてリサーチしてみた。
まず現在の道路標識のほとんどはアルミ製なのだ。アルミは軽量で耐腐食性が高いことから素材に選ばれているのだろうが、ひと昔前は鉄製の標識も存在した。しかし鉄製は錆が進むと危険なこともあり、現在はほとんどがアルミ製へと姿を変えている。ちなみに道路標識の耐用年数は15年程度といわれている。
では次に設置に関する雑学だ。ここで街なかにある道路標識は、支柱にどんな状態で取り付けられているか想像してみて欲しい。例えば丸い一方通行の標識が、どんな位置関係で取り付けられているかを正確に答えられる人は少ないと思う。
では答えだ。標識を標識柱に設置する際は、通常は支柱を中心に左右対称となる。しかし、道路脇など設置スペースが限られている場合、道路側に向けて設置するケースもある。つまりすべての標識は中心に支柱があるわけではなく、左右のどちらかにオフセットされていることもあるということだ。
ではこの標識の取り付け用金具だが、これにも様々な種類があるが、Uバンドと呼ばれるU字型の金具がメジャーなパーツのひとつだ。Uバンドはネジが2か所あり、Fリブ金具等のネジが1か所のものの方が片手で板面を抑えながらもう一方の手でネジ締めができるため、作業性に優れている。
さらに標識の裏側には標識設置者によるシールが貼られている。このシールには、設置者、管理者、管理番号 (規制番号)、設置年月日、施工者等が記されているので、機会があれば見て欲しい。標識のプロフィールがわかるはずだ。

では最後に標識の裏側の色について説明しよう。標識の裏面は通常、無塗装でアルミ地のままだ。ただし、景観への配慮が必要な場所では茶色などの目立たない色に塗られているケースもある。
交通の秩序を守るためには必須の標識だが、暑いときも寒いときも、風雨にさらされながら立ち続ける、なんともいじらしい存在だと思わないだろうか。気にする人の方が圧倒的に少ないだろうが、ぜひ裏側から標識を眺めてみて欲しい。以外にも多くの工夫と知らない世界が覗けることと思う。
道路標識のサイズや、そこに描かれている記号や文字に関する規格は、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令 別表第二 (第3条関係) – 総理府、建設省令第三号」(別名、標識令 別表第二)で定義されている。
標識には円形、正方形、長方形、五角形、三角形など、いくつかの形に分類される。それぞれ、標準サイズとして記載されている主なものをピックアップしてみた(サイズが豊富な案内標識や一部の長方形/正方形規制標識を除く)。

サイズのバリエーションと設置基準
規制標識、指示標識、警戒標識は横60cmを標準サイズとして、1/2倍 (30cm)、2/3倍 (40cm)、1.5倍 (90cm)、2倍 (120cm)、2.5倍 (150cm、100km/h以上の高速道路に設置される警戒標識)といった規格が存在する。これらのサイズはどのように使い分けるかについて大まかな基準は以下のとおりである。
● 1/2倍: 単独で設置されることはなく、ゾーン30の長方形規制標識の中に描かれた最高速度や駐車禁止の規制標識のように、デザインの一部として描かれる。
● 2/3倍: 都市部の生活道路、片側1~2車線の道路に設置。
● 1倍: 郊外の一般道路、都市部の一般道路や幹線道路。高速道路のインターチェンジ内でのサイズ。
● 1.5倍: オーバーハング型の標識、交差点付近の規制標識、高速道路における標準サイズ。
● 2倍: オーバーヘッド型の標識、高速道路における拡大サイズ。
● 2.5倍: 高速道路における拡大サイズ。
