進化を続ける巻き込み防止装置の話

トラックのサイドに板状のパーツが装着されているのを見たことがある人は多いだろう

サイズや形状はトラックの大きさや種類によってさまざまだが、これは「巻き込み防止装置」または「サイドバンパー」と呼ばれる、安全対策上、非常に重要なパーツなのだ。

これは令和元年11月15日に施行された道路運送車両の保安基準の改正により、令和4年5月から新型車として販売される車両総重量8トン以上の大型トラックに、左折巻込み防止装置(側方衝突警報装置)の設置が義務付けられたため、今では義務付けられたトラックすべてで見ることができる。

先に巻き込み防止装置は安全上の理由で欠かせないパーツだと述べたが、これは中大型トラックの構造上のデメリットを補う意味が大きいのだ。たとえば大型トラック運転席の座面は2メートル以上と高いため、左下方や左後方の見通しは極めて悪い。さらに内輪差も大きいため、大型トラックの左折時には歩行者や自転車を巻き込み重大な死傷の結果を負わせる事故が頻発したということが背景にある。

そのため、保安基準44条5項において、運転者が運転車席において障害物を確認できる鏡その他の装置を備えなければならないと規定された結果、大型トラックには、サイドミラーのほか、アンダーミラーやサイドアンダーミラーが設置されたり、助手席側ドア下部に安全窓(側面ガラス)が設置され、左下方の安全確認ができるようになっている。

そこで左折巻込防止のために以下のような決まりも設けられた。車両総重量8トン以上の新型トラックに義務付けられた左折巻込み事故防止装置の概要は以下のとおりだ。

・時速30km/h以下で走行中、左側方を走行中の自転車を検知できること。

・検知範囲は自動車の左側面0.9m~4.25mの範囲。

・前輪タイヤ付近においては、0.25m~0.9mの範囲においても検知しなければならない。

・運転者が左折しようとした際に自転車と衝突する可能性がある場合に警報しなければならない。

・警報は視覚及び音による警報とする。

さらに最近では最新式の巻き込み防止センサーも数多く出回っており、AIを採用した カメラも登場している。ある製品の場合、高精度、広範囲で危険を検知するほか、車両の最前端から前方3m後方12m、車体左側の最外側から左方5mという広い範囲で検知することができる細進化しているのだ。

またトレーラー用であれば左右側面および4.5m、前面から後方14mまで広い範囲で検知。左折時は、トレーラーの動きに合わせて検知範囲が変動することに加え、インジケーターと音で知らせてくれるものもある。製品によってはモニターも設置され、ミラーでは見えづらい部分も補ってくれる設計となっている。

このほか、35km/h以下で走行時には、左折ウインカーに連動し外部スピーカーからメッセージを発するものや、センサー検知エリア40cm以内まで近付くと、車の接近を音声で発するものなどバリエーションも増えている。

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