
自動車大国アメリカでは、一部を除いて多くはクルマを移動の道具ととらえている。これに対して、わが国ではクルマをステイタスととらえる人が多くいた。高度成長期には「いつかはクラウン」などといわれ、バブル経済期にはハイソカーを皮切りに、高級セダンが重宝されるようになっていったのである。みんなが同じようなクルマに乗るようになると、今度は後付けグッズで個性を主張するようになっていったのだ。
今でもたまに見かけるが、カーグッズの走りといえばマスコットであろう。多くは、ルームミラーにぶら下げていた。トラックなど商用車は、安全を祈願してお守りをつけている車両も多くいた。カーグッズとは少し違うが、同じ縁起物としてはフロントの正月しめ飾りもそうだ。豪華なものには小さなミカン(?)も付いていた。運送事業者などではしめ飾りをしてお神酒を振り、初荷を出していたところも多い。
トラックでよく見られたグッズとして記憶に残るのは、タイヤに擦れるように取り付けられていたゴムや布切れであろう。これは、一般ドライバーにはほとんど馴染みがない。これらは飾りというよりも、タイヤを自動的に磨く機能を持った便利アイテムだ。トラックは様々な場所を通りながら長い距離を走るので、どうしてもタイヤが汚れていしまう。未舗装路など土埃の多いところを通れば、黒いタイヤに白く汚れがついてしまう。ゴムや布切れは、それをこすり落としてくれるのだ。

同様に、機能性が高いとされていたのがアースベルトだ。車両後部の金属部分に取り付けて、地面に接触をさせる。チェーンが基本であるが、ワイヤーをゴムで包んだおしゃれなものもあった。機能は、静電気の除去。乗車するときに、「バチッ」とくるのを防ごうというものである。タンクローリーなどでは、積み荷が静電気で発火しないようにするための安全グッズとして使われていた。

乗用車用のグッズで、記憶に残るのはリアカーテンだ。スモークフィルムやカラーガラスが一般的ではなかった頃に、プライバシー保護と日差し除けに重宝されていた。簡易なものなら、吸盤やピンを使用して取り付けが可能なもの、後にはブラインドタイプが登場している。高級なものは、自動で開閉する機能を持っていた。

リアスピーカーもインパクトのあったグッズといえよう。リアトレイに取り付け、小型ながら迫力あるきれいな音を再現していたことが魅力だった。ただ、それ以上に背面で光るイルミネーションに人気があったのだ。単に光るだけではなく、ストップランプと連動するといった実用性も兼ね備えていた。しかし、これは道路運送車両法の保安基準に抵触する。運用が厳しくなれば、消える運命にあるのも致し方はない。

このように、昭和の頃はいろいろと楽しいグッズがいっぱいあった。当時のクルマは純正装備が少なく、ドライバーが自ら工夫してカスタマイズをすることができたのだ。なかには機能・効能が怪しいものや法的に疑問符が付くようなものも見られたが、総じて寛大な時代であったのだろう。今では多くが絶滅したか、あるいは絶滅危惧種になってしまっている。もし、今でもこれらのグッズを見かけることができれば、ノスタルジックな思いに浸れるかもしれない。
