ダメ ぜったい 過積載!

過積載という言葉は聞いたことがあるが、実際にどんなことが過積載にあたるのか? また過積載は何が危険なのかをここであらためて確認していこうと思う。

まず過積載とはどんな意味かをおさらいしてみよう。

過積載とは、車両に定められた最大積載量以上に荷物を積載、運行することを指す。重大事故を引き起こす原因の高い悪質な違反行為として、シートベルト非着用、違法駐車と並ぶ「新交通三悪」の一つに数えられ、警察による厳重な取り締まりの対象となっているのだ。

このように厳重な取り締まりが行なわれるということは、違反した結果が事故につながった時に重大な問題になることが多いという意味だ。では過積載がもたらす危険性とリスクを見てみよう。

まず制動距離の延長、操縦性悪化、荷崩れ発生率の悪化、道路へのダメージ、車両への負担、環境悪化する、というようなリスクがある。

特に制動距離の延長は、事故に直結する問題でもある。過積載の状態でブレーキをかけると、荷物の重さでタイヤと道路の摩擦力が減少し、進行方向へかかる力が大きくなるため制動距離が長くなってしまう。運転手が想定する停車までの距離を大きく超え、車両は想定以上に前に進むことになる。その結果、前方車両と接触や、停止線で停止できず交差点への侵入や歩行者と接触の可能性が飛躍的にアップするのだ。

「社団法人 奈良県トラック協会」の適正化事業情報誌「あすか VOL.14」のデータによると定量積載10トン車の制動距離は以下のようになっている。

それぞれ40km /hと80km /hでの制動距離だが、定量である10トン積載の場合は40㎞/hなら13.3mだが、80㎞/hなら50.3mとなる。これに対して14トン(140%積)なら14.6mと58.9m、18トン(180%積)なら16.1mと70.3m制動距離は一気に伸びている。

つまり同じ40㎞/hだとしても積載量10トンと18トンだと、制動距離に3m近く差が出ることになる。たかが3mという話ではなく、路上でドライバーの想定よりも3mも進めば間違いなく事故につながるのだ。

また操縦性悪化も過積載による悪影響だ。過積載で重量が大きくなると、その分運動エネルギーが増し、スピードの制御が難しくなる。特に下り坂では予想以上にスピードが出ることに加え、ブレーキを踏んでも事故を回避できない可能性が大きくなる。

さらに荷物を多く積む過積載では、荷台の重心の位置が高くなり、車両の安定性が低下ししてしまう。その結果、カーブを曲がったりブレーキをかけたりする際に荷物が傾きやすく、荷崩れが発生する危険性が高くなるのだ。この状態では積み荷を適切に固定することが難しくなるのは想像できるだろう。

また道路にダメージを与えるリスクだが、過積載=重量増加となるため、10トン未満に制限されている道路運送車両の保安基準も違反することになる。この規定の軸重を超えると、軸重20トンのトラックが走行した場合、軸重が10トンのトラックの約4,000倍もの負担がかかるといわれている。

こうした外部へのリスクのほかにも、過積載によって車両にかかる負担が大きくなることも危険なポイントといえる。重量物を運ぶために設計されているトラックといえども、積載量には限界がある。その限界を超えると、車体やフレーム、サスペンション、ブレーキなどの部品が故障・損傷しやすくなり、事故につながる危険性も高まるのだ。

ではこうした過積載を行なった場合はどうなるのだろうか。まず道路交通法に則り、警察官は過積載をしている運転手に対し、以下の必要な応急措置を取れる。

自動車検査証の提示および、車両積載物の重量測定、荷物の積み降ろし、通行指示書の交付。

その際に過積載と認められた場合には、運転手には以下のような違反点数および反則金が課せられる。

過積載の割合が5割未満(中・大型トラック)なら違反点数2点(酒気帯び14点)反則金3万円。過積載の割合が5割以上10割未満(中・大型トラック)なら違反点数3(酒気帯び15点)反則金4万円、過積載の割合が10割以上(中・大型トラック)なら違反点数6点(酒気帯び16点)反則金はなし(罰則金のみ)で6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金。10割以上の過積載は懲役刑の可能性があることにも注目したい。それほど悪質な違反だということだ。

また運転手に過積載をさせた運搬事業者は、事業許可取り消しなどの措置が取られる場合もある。さらに貨物自動車運送事業法により、過積載の程度と何回目の違反なのかに応じて車両停止処分もあり、最大で500日×違反車両数の間は車両が使用できなくなるなどの厳罰もあるのだ。

さらに過積載は荷物を運搬する運転手や運搬事業者のみならず、発注元の荷主にも責任が追及される。道路交通法では、過積載になることを知りながら運転手に積載物を売り渡したり引き渡したりすると、警察署長から過積載の「再発防止命令」が出され、その再発防止命令を違反すると、6カ月以下の懲役または10万円以下の罰金が科される。

罰金や罰則が厳しいからということではなく、事故に直結する恐れがある過積載だけに、積載量は絶対に守らねばならないルールということだ。

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