軽バンに荷物を積むのは意外と難しい?

ラストワンマイルの輸送に活躍する軽バン。運送事業者に所属している車両もあるが、個人事業者が請負契約を結んで運んでいる例も多い。いずれの場合も、地域の物流拠点で到着している荷物を積み込み、配送に出発するという流れになる。トラックのようなテールゲートがあるわけではないので、荷物は基本的に手積みで行なわなければならない。もっとも、手積みといっても軽バンなのだから積める量は限られているはずだ。そこで、新人ドライバーの荷積みに密着してその様子を取材してみた。

今回密着した軽バンは、日産のクリッパー。最大積載量は350㎏だ。積み込み作業は大規模な物流センターで行ない、荷物はA4サイズのフリーペーパーである。荷姿は30冊を1束にして、クラフトペーパーで包んだ状態。1束の重さは、約3㎏~4㎏ある。総冊数は7000冊なので、荷物の数は約230個だ。

物流センターに到着すると、フォークリフトオペレーターに倉庫から荷物の運び出しを依頼する。すると、パレットに積まれた7000冊の冊子が軽バンの近くに運ばれてくるのだ。トラックであればプラットホームに付けてかご車などを使用できるが、軽バンはパレットから直に手積みをしなければならない。

パレットの荷物は独特の形状に積まれており、今回はピンホール積み(風車積み)になっていた。パレットはかご車のような枠がないので、きちんと積まないと荷崩れを起こしてしまう。細心の注意を払って運ぶとはいえ、フォークリフトを使用する場合はかなり安定した積み方をする必要がある。A4の小冊子30冊をクラフトペーパーで包んだ長方形の荷物を、約230個積み上げるにはピンホール積みが最適なのだ。

ただ、これを手積みで軽バンに乗せるとなれば、荷物のまわりをくるくる回りながら上から順番に運んでいくことになる。これは、結構重労働だ。30分ほどかけて150束ほどを積み込み、荷室がいっぱいになった。ところが、ここで問題が発生した。軽バンのタイヤが、ひしゃげてしまっていたのである。

理由は簡単だ。完全な積載オーバーである。1束3㎏~4㎏の荷物を150束積めば、450㎏~600㎏になる。軽バンの最大積載量は350㎏だ。このまま走れば、タイヤのパンク・ブレーキ不能・横転などにより事故が起こりかねない。仮に事故が起きなくても、積載オーバーは完全な交通違反行為だ。結局、オーバーした分は手降ろしをして次の配送に回すことになった。

荷物が減ったので荷室に余裕ができたのだが、ここでも積み方に注意が必要になってくる。クラフトペーパーは滑りやすいから、できるだけ平らに低く積むことが望ましい。前側に寄せて高く積むと、ブレーキをかけたときなどに滑って荷崩れを起こすことがあるからだ。

荷崩れを起こせば荷物が痛むというだけでなく、荷降ろしで後部ゲートを開いた際に落下する危険性もあるのだ。単に同じ大きさの荷物を運ぶだけのことなのだが、注意しなければならないことは非常に多い。しかし、それらはすべて顧客の大事な荷物を無事届けるためのもの。傍で見ると簡単そうだが、トラックドライバーの大変さを改めて感じた密着取材であった。

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