
多くの荷物を載せて、一度に運ぶことができるパレット。見た目は四角い1枚の板なのだが、物流関係者はその重宝さをよく知っている。細かく見れば様々な大きさや仕様の違いがあり、必ずしもすべてが同じものではない。とはいえ、多くは同じ規格であるために高い汎用性があるといえる。このことが、意外にも物流関係者の頭を悩ます原因になっているのだ。
四角い板状のパレットは様々な素材で作られているが、主なものは木製と樹脂製で価格は数千円である。このパレットに出荷元で荷物を積んでトラックに載せ、着荷先ではパレットごと降ろす。ここでパレットから荷物を降ろすことは少なく、パレットごと倉庫で保管される場合が多い。なぜなら、そのほうが時間がかからず効率的だからだ。
荷物は必要な分がパレットから降ろされて、やがてすべてなくなるとパレットだけになるので、それを倉庫の片隅で保管する。後日、出荷元から再び荷物を積んできたトラックが、保管されているパレットを回収する。この循環がうまくいけば、バレットによる荷物の運搬は順調に流れることになるのだ。

ところが、この循環のなかでいつしかパレットが紛失するということが頻発しているという。パレットは、レンタル会社か出荷元の所有である場合が多い。ゆえに、彼らが運送事業者(出荷元の場合は自社便の場合もある)に依頼してパレットを回収する。着荷先で荷物を降ろしたあと、すぐに回収できれば手間がかからないのだが、先述のようにいったんその場に残してくることが多いため、管理が難しくなってしまうのだ。着荷先にしてみれば自身の所有物でないものを、いつまでも保管するのは物流効率上好ましくない。どうしても、扱いがおざなりになってしまうのだ。
こういった背景に加えて、出荷元が数の多い自社パレットの数を把握していないという問題がある。そもそも、パレットが使用されている際にその数や所在を確認するのは、所有者である出荷元事業者ではない。着荷先の倉庫スタッフや、トラックドライバーなどが行なうのである。このように、確認をする担当者や手順などが事業者によって違うために、管理がスムーズにいかないのだ。
もうひとつの問題は、物流業界の悪しき慣習である。それは、手元にあるパレットを安易に使ってしまうことだ。本来、使用済みのパレットは出荷元が回収するまで保管されなければいけない。ところが、着荷先で新たに何らかの出荷が発生したとき、そこにあるパレットを安直に使用してしまうのだ。こうして出ていったパレットを、持ち主である出荷元が追跡することは不可能に近い。

こういった理由で行方不明になっているパレットは、年間で約30万枚に及ぶという。1枚なら数千円のものかもしれないが、30万枚ともなれば十数億円の損失になる。決して看過できる金額ではない。そこで、パレットにICチップなどを付けることにより、1枚1枚の動きを把握するシステムなどが開発され、普及しつつあるという。物流の効率化や資源の無駄遣いをなくすといった観点からも、パレット管理システムの導入拡大が期待されているのである。


