我々の生活の中で当たり前なのに、海外で注目を集める特殊車両がある。これだけ聞くと、何のことかわからないと思うが、実はいたって普通の存在なのに海外で注目を集める車両がある。思わず「それって、当たり前じゃないの?」と言ってしまいそうになること間違いなしの、特殊車両とその内容をお届けしよう。
「ゴミ収集車」
一般家庭から出るごみを収集してくれるゴミ収集車。正式名称は塵芥車だが、このごみ収集車が、東アフリカのジブチや中東のレバノンなどでは、注目を集めている。多くの人が聞いたことがあるだろうが、ゴミ収集車は稼働中に音楽やアナウンスを流していることが多い。これは集積場所の掃除当番の人などへ収集車が来たことを伝える役割があるからだ。この音を頼りにゴミを排出したり、収集車が来たかを確認される人が多い、事故対策や排出忘れを防止する観点から、ゴミ収集時に音楽を鳴らしているなど、地域によってコメントの差はあるが、おおむね同じような目的で音楽が流されている。この音楽は海外に送られたゴミ収集車でも流されているのだ。

それまでゴミを道端に捨てる習慣があった地域でも、このメロディが聞こえると「日本車が来た」と住民が家からゴミを持って出てくるようになり、街の衛生環境が劇的に改善されたという報告もある。
「軽トラ」
今、アメリカの農家やカスタムカー愛好家の間で、日本の「軽トラ(Kei Truck)」が爆発的なブームになっている。アメリカでは右ハンドルの輸入が制限されているが、製造から25年経つとクラシックカーとして解禁されるため、古めの軽トラックもアメリカで入手できるようになっている。
人気の秘密はそのコンパクトさ。アメリカの巨大なピックアップトラックでは入れない狭い農道や、レジャー施設内の移動に最適なのだ。さらにエアコンが効き、燃費が良く、四輪駆動で悪路も走れるため、軽トラは実用的かつホビーとしての人気が高い。

「ミニショベル」
建設機械の中でも、ヤンマーやクボタ、日立などが作る「ミニショベル(ミニユンボ)」は欧州で圧倒的なシェアを誇る。とくにヨーロッパの古い街並みは道が狭く、建物が密集しているため日本の「超小旋回(後ろがはみ出さない)」技術が活躍している。
こうしたことに加え、狭い庭先でミリ単位の作業ができる精密さは、日本のメーカーが最も得意とする分野であり、イギリスのガーデニングやフランスの歴史的建造物の修復現場でも、日本のミニショベルが欠かせない存在になっている。

「バキュームカー」
日本では下水道の普及で見かける機会が減ったバキュームカーだが、海外では現役バリバリのハイテクマシンだ。日本のメーカーが作る車両は、泥や石が混じった過酷な環境でも詰まらずに吸い上げるパワーがあるため需要が高い。
また急激な人口増加で下水道整備が追いつかないアジアやアフリカの都市部で、感染症を防ぐための「公衆衛生の要」として非常に高く評価されている。

「高所作業車」
日本で生産される高所作業車は、アジアや中東のインフラ工事現場で人気が高い。その理由は動きの精密さだ。高所作業車は日本の電柱や狭い路地に合わせて進化してきたため、アームの動きが極めてスムーズで、ミリ単位の停止ができるのが評価されている。また、途上国ではハシゴや不安定な足場での作業が一般的だったが、日本の高所作業車が導入されることで転落事故が劇的に減ったという実例が多くある。

「ロータリー除雪車」
北米、ロシア、北欧などの極寒地では日本の除雪車が活躍している。降り積もった硬い雪を巨大なオーガ(回転刃)で粉砕し、数十メートル先まで一気に吹き飛ばす技術は世界トップクラスと言われている。吹雪の中でも滑走路を短時間で完璧に清掃できるため、海外の国際空港のバックヤードでも、実は日本製マシンが多い。
3「冷蔵・冷凍トラック」
東南アジアなど、コールドチェーン(低温輸送網)が未発達な地域で、日本の冷蔵・冷凍特装車が非常に重要な役目を持っている。断熱性の高いボディーと、高性能な冷凍機の組み合わせは、猛暑の中でもマイナス30度を安定して保てるため、食べ物だけでなく、ワクチンの輸送など、温度管理が命に関わる分野で「日本製なら絶対に温度が上がらない」という信頼を得ているのだ。
「トーイングカー」
最後は一般的ではないものの、成田や羽田などの大きな空港で見かけるトーイングカーも海外で活躍する特殊車両だ。何百トンもあるジャンボジェット機を数ミリの誤差なく動かす精密なトルク制御が注目されている。最近では、排気ガスを出さない電動(EV)トーイングカーの輸出も増えており、世界の空港の脱炭素化を支えている。

